ドイツ各地で毎年、日本祭りのような催しが行われていますが、ここハンブルクでは「日本文化デー」(Japan Kulturtag)と銘打ったイベントが、3年前から行われています。ハンブルクは全世界の中で、「さくらの女王」を選出することが許されている3都市のうちの1つで、その選考を兼ねた「さくら祭り」は1968年から行われています。さくら祭りの一環として開かれる日本人会主催の花火大会の伝統は長く、ハンブルクっ子も毎年楽しみにしています。一方、ハンブルク日本領事館いわく「どこが主催しているのか、はっきりしない」という日本文化デーは、いくつかの日本関連の団体がそれぞれにコンタクトを取り合って3年前から始まった、市民の草の根的なイベントです。
その日本文化デーですが、今年は5月17日の「キリスト昇天日」という祝日に行われ、会場となった植物公園(Planten un Blomen)内の日本庭園とハンブルク大学構内のアジア学科の建物は、昨年以上に多くの人出で賑わいました。「日本人がたくさん来るのかな」と思ったら、来場者のほとんどはドイツ人で、「日本文化の素晴らしさをドイツ人に紹介したい!」という企画者たちの想いが十分に伝わっていると感じました。
武道の演技に見入る大勢の人々
武道の時間には、合気道や柔道、剣道など様々な武道の演武が行われましたが、それぞれ武術の師匠も生徒もほとんどがドイツ人で、日本の伝統的な武道がいかにこの国に根付いているかを実感しました。もしかしたら、武道は日本国内よりも人気があるのではないかと思うほどです。
また、囲碁の対戦コーナーでも真剣な眼差しで碁盤を囲んでいるのはドイツ人。今や日本の伝統文化の素晴らしさを本当に認識しているのは、外国人なのでしょうか。人は持たないものに憧れ、すでに持っているものの価値を軽んじる傾向にありますが、文化の面でも同じことが言えるのかもしれません。
このほかに、特に私の目を引いたのが日本語補習校の保護者たちによる折り紙コーナー。1回2ユーロで折り紙を教え、収益金を補習校に寄付するというものですが、驚いたのは、お父さんたちが教える役に回っていたことです。生徒数が減って経営難となっている補習校のために、お父さんたちが一肌脱いでいるところに感銘を受けました。日本の学校ではあり得ない光景ではないでしょうか。
その他、茶道に和菓子、習字や墨絵、日本の漫画コーナーなど、多岐に渡った日本文化デーでした。
折り紙コーナー。お父さんたちが頑張っています
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエ ス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?