今回は、北ドイツの冬の風物詩の1つ「Grünkohlwanderung(グリューンコール・ハイキング)」をご紹介しましょう。(グリューンコールはキャベツの一種)ドイツの冬と言えば、暗く長く…とあまり良いイメージが浮かびませんが、そんな冬の、特に寒さが厳しい1月頃にこのハイキングは催されます。(地域によっては「Kohlfahrt」と呼ぶ所もあるそうです)
なぜグリューンコールなのかというと、このキャベツはその秋最初の霜が降りた後、苦味がなくなったこの時期にしか食べられない季節野菜で、このグリューンコールの料理を食べるためにハイキングするというわけです。
グリューンコールの王と女王がこの行事を企画
私が初めてこの行事に参加した3年前は雪が降っていました。凍てついた、でも新鮮な空気を吸いながら雪景色の中を数時間かけて歩くのはとても気持ちの良いものでした。また、このハイキングでは皆さん、首から小さなコップを下げて歩きます。何のためかというと、各所でアルコールを飲むためなのです。例えば誰かが「鹿がいるぞ~!」と叫ぶと(実際にはいなくても)皆さん足を止め、ゴソゴソと上着の隠しポケットや引っ張ってきた「Bollerwagen」という小さな荷車からシュナップスやリキュールの瓶を取り出し、互いについでまわって乾杯します。そうやって何度も小休憩しながら歩くので、たいてい目的地に着くまでに皆さんほろ酔い気分になるようです。私は途中でトイレに行きたくなっては困るので、少ししか飲まないのですが。
雪景色の中をひたすら歩く、歩く!
たくさん歩いてお腹を空かせた後は、目的地であるレストランでボリュームたっぷりの食事が待っています。もちろん料理の主役は一見、高菜を思わせるような深い緑色のグリューンコール。その付け合わせは砂糖と一緒に炒めたじゃがいも(意外にもこれがすごくおいしいのです!)にソーセージ、豚の頬肉、カースラー(豚の塩漬け)です。また驚いたことに、これらに辛子と砂糖を混ぜ合わせたものを付けていただくのです。中には、自分で好みの甘さにした辛子を持参する人もいます。
一昨年、昨年は生憎の雨に見舞われ、地面がぐちょぐちょの中を歩かなければならなかったのですが、今年はどうなることでしょう。今から楽しみです。
ボリュームたっぷりの食事が待っている
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。