毎年5月の終わり頃から、キールの街全体が何だかそわそわし始めます。街のあちこちで祭りの旗がはためき、キール湾には1年で1番多く、ヨットや帆船が集まってきます。そう、北ドイツ最大の祭り「キーラー・ヴォッヘ(Kieler Woche)」が6月最終週に開催されるためです。
9日間の祭りの期間中、キール湾沿いをはじめ、街の中心部はドイツのみならず世界中から集まる350万以上の人で賑わい、街全体が明るいムードに包まれます。15カ所のステージで1000以上のイベントが催されるほか、「Kiel-Cup」をはじめとする様々なヨット・レースが行われ、キール湾沿いには屋台と移動遊園地がずらりと並びます。屋外ステージのコンサートを聴いたり(ドイツの人気歌手もやって来ます!)、飲んだり食べたりしながらキール湾を行き交うヨットや帆船を眺めたり、あるいは実際に帆船に乗ってキール湾をクルーズしたり……と楽しみ方は実にたくさんあります。
華やかな衣装を身に付けて祭りに彩りを添える人たち
とても1度には紹介しきれないのですが、中でも私のお薦めは、市庁舎前の広場とその周辺に展開するインターナショナル・マルクトです。30年の歴史を持つこのマルクトには、世界31カ国(6大陸すべて)の屋台が建ち並び、それぞれのお国自慢の民芸品を購入したり、郷土料理を楽しむことができます。例えば、わざわざアフリカのルワンダや南米のペルーまで行かなくても、その地域の郷土料理を味わうことができるのです。ただ残念なことに、日本の屋台はありません……。毎年、今年はどの国の料理を食べようかと楽しみにして出かけている私です。
インターナショナル・マルクト
なお、マルクトの屋外ステージでは各国の民俗音楽や舞踊も鑑賞できます。そして、帆船好きの私にとってたまらないのが、祭りの最終日前日の午前中(27日11:00)に行われる帆船の大パレード(Windjammerparade)です。実際にはボートやフェリーなども参加するのですが、キール湾をたくさんの帆船が堂々と航行する姿はまさに圧巻です!
そして、最終日夜(28日23:00)の花火で祭りは幕を閉じます。花火が終わり、各船が一斉にお別れの汽笛を鳴らすと、祭りが終わってしまった寂しさを感じずにはいられません。キーラー・ヴォッヘは、キールの街が1年で1番輝く時期と言えるでしょう。
今年は6月20~28日に開催されます。詳しくはwww.kielerwoche.deで。
祭りの間、キール湾にはたくさんの帆船が集う
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。