ジャパンダイジェスト

カタマランの競演 ~iShares Cup観戦

“カタマラン(Katamaran)”と聞いて、皆さんは何を想像しますか? 

私は初めてその言葉を聞いたとき、思わず「え、何? 固まらない?」と、とんちんかんなことを思ったのですが、実際にカタマランを見て、その変わった構造にビックリしました。それは私にとって、初めて見る双胴型のヨットだったのです。2つの胴体を持ったヨットと言えば、分かりやすいでしょうか。

8月最後の週末、ここキール湾で夏の終わりを締めくくるかのように、カタマラン・レース、iShares Cupの第4ラウンドが開催されました。1度にたくさんのカタマランを見られる貴重な機会だったので、私も娘を連れて日曜日のファイナル・レースを見に行ってきました。あいにく当日の天気は雨模様だったのですが、キール湾にはたくさんの人たちが集まっていて、皆さん傘をさしながら観戦していました。海の方から見たらきっと、カラフルな傘の花が咲いているように見えたと思います。後日、新聞で知ったのですが、悪天候にもかかわらず、約5万人の観客が詰め掛けたそうです。

色鮮やかな帆布が目を惹くカタマラン 色鮮やかな帆布が目を惹くカタマラン

さて、会場に着くと、帆布の色彩も鮮やかな10艘のカタマラン・ヨットの姿が目に飛び込んできました。観客のために、レース開始を告げるカウントダウンのアナウンスやレースのライブ解説がなされ、上位艇を知らせる大きなスコアボードも設置されていたので、レースの進行具合がよくわかりました。

さらに、競技は湾岸からほんの数メートルのところでぐるぐると周回するようなコースで行われるので、カタマランの動きを観察するには絶好のコース。乗組員が、2つの胴の間に張ってある網の上を素早い身のこなしで巧みに移動して帆の向きを変えたり、片方の胴を空中に浮かせたまま斜めの状態で走ったり、はたまたカタマラン同士がぶつかりそうなほど接近しながら競り合って走行したりする様子は迫力満点でした。

今回のレースにはヨーロッパ各国をはじめ、アメリカやオーストラリアなどのチームが参加していたのですが、1、2位を独占したのは、なんと中東から参加したオマーンのチーム!(といっても、その主将はイギリスとフランスの人でしたが)地元ドイツ・キールのチームも9位ではありましたが大奮闘し、観客を沸かせてくれました。

カタマラン・レースの詳細について は、www.isharescup.comでご覧になれます。

2つの胴の間を巧みに行き来するクルー 2つの胴の間を巧みに行き来するクルー

ゼルヒャウ・ハンゼン美穂
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。
 
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