Hanacell

ようこそタンゴ・カフェへ!

明るい陽差しの下、カフェのテラス席に座り、目の前に広がる青い海や停泊している帆船、沖に浮かぶヨットを眺めながらゆったりとコーヒーをいただく。聞こえてくるのは心地良いタンゴの調べ……。そんなくつろぎのひとときを過ごせるカフェ「シファーカフェ」が、キールのホルテナウ(Holtenau)地区のティーセン埠頭9番地にあります。

ホルテナウ地区はちょうどキール運河とキール湾が出会う地点にあり、旧運河沿いの埠頭には今でも夏の航海シーズンが始まると、たくさんの帆船やヨットが停泊しています。そして中・大型帆船が停泊するティーセン埠頭には、10年ほど前まで船の装備品や航海に必要な日用品を売る小さな専門店がありました。そのお店のオーナー、ティーセン氏(この埠頭の名はティーセン氏にちなんで1976年に付けられたのです)が引退して店をたたんだ後、数年経ってから、ここはカフェとして生まれ変わりました。

キール
船装備店時代の商品棚がそのまま残されている店内

一歩店内に足を踏み入れると、たくさんの引き出しが付いた緑色の大きな棚が目に飛び込んできます。昔はここに様々な船の装備品が入っていたのでしょう。さらに天井を見上げると、これまた一面に船の装具類やランプや小旗などが吊り下げられており、壁のあちこちに帆船の絵が掛かっています。カフェになっても店の看板や店内の装飾はほとんど昔のまま残されているので、当時の様子を偲ぶことができ、それがまた独特の雰囲気を醸し出しています。セルフサービスなので、好きなだけゆっくりできるのも魅力です。このカフェの前を通るとたいていいつも満席で、人気のほどがうかがえます。

営業時間もちょっと変わっていて、夏季は朝10時から日没まで(日没後も、お客さんがいるときにはそのお客さんが帰るまで開いているそうです)、冬季は金~日のみの営業です。そしてBGMには、いつもタンゴの音楽が流れています。特筆すべきは、毎週日曜日16時から「タンゴの夕べ」が開かれており、タンゴ・ダンスを踊ることができることでしょう。

ある冬の平日、閉まっているはずのカフェの前にテレビ局のトラックが止まっていたことがあり「変だなぁ」と思っていたら、後日、なんとこのカフェが人気長寿番組「Tatort」のキールを舞台にした回で、警察が捜査を進める上での重要な場所として登場していたのです。(タイトル“Treff der einsamen Herzen”)。驚いた私は、思わずテレビの前で「これ、近所のカフェだ!」と叫びました。素朴でこぢんまりしているけれど、知る人ぞ知る街の名物カフェ。キールに来られた際に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

Schiffercafé
Tiessenkai 9, 24159 Kiel

キール
カフェのテラス席でくつろぐ人々

ゼルヒャウ・ハンゼン美穂
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。
 
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