1月12~16日、寒空が広がるキール市街中心部のホルシュテンプラッツ(Holstenplatz)に“彼ら”がやって来ました。それは誰かと言うと、年に一度やって来る「マルクトシュライアー(Marktschreier)」たちです。
行ってみると、そこには一般的なマーケットやお祭りと同じように食品やお菓子、おもちゃ、衣料品、雑貨などを売るテント及び販売カーがずらりと並んでいました。でも、普通のマーケットと異なる点は、各販売カーの前面にスピーカーが付いていること、そして商品を販売するマルクトシュライアー(=大声で販売する人)たちが、その名の通りマイクを使って大声を張り上げていることです。日本では、売り子さんたちが声を張り上げてお客さんを呼び込むというのはよく見られる風景ですが、ドイツでは通常のマーケットでも大声で呼び込みをするお店にまだ出会ったことがありませんでした。ですので、その大声に何事かと足を止め、私もほかの人たちに混じってマルクトシュライアーの宣伝文句やお客さんたちとの会話につい耳を傾けてしまいました。
スピーカー付きの販売カーがずらりと並ぶマーケット
中でも目立っていたのは、通称「ソーセージのアーヒム」さん(面白いことに、各マルクトシュライアーには「チーズのルーディ」「バナナのラインホルト」「うなぎのオーレ」などの呼び名が付いているそうです)。体格の良い彼が大きなソーセージを両手に掲げて、よく響く声で冗談交じりに呼び込みする姿がおかしく、さらにお客さんたちが美味しそうなソーセージが入った袋を次々に購入していく様子を見て、私もつられて思わず一袋買ってしまいました。娘を連れていたのですが、ちゃんと子ども用のソーセージまでおまけしてくれました。
家に帰って調べてみたところ、ソーセージのアーヒムさんは2008年にRTL局の「Mensch gegen Tiere(人間対動物)」というテレビ番組で音量107.8デシベルの声を出して世界記録を樹立、昨年10月にはProSieben局の番組「Galileo」でその記録を塗り替える110.2デシベルの声を出し、「世界で最も声の大きな生物」として名の通っている人物だということが分かってびっくり!どおりでマルクトでも目立っていたわけです。
Dauerwurst、Mettwurst、Salami、Schinkenなどが
ずっしり入って一袋10ユーロ!
マルクトシュライアーは国内各地を回っているそうなので、まだ見たことがないという方は、行ってみるのも一興かもしれません。下記ウェブサイトでチェックできます。
www.gilde-der-marktschreier.de
福岡出身。2005年に渡独。夫と娘との3人家族。キール・フィルハーモニー合唱団所属の音楽好き。最近凝っているのは家庭菜園。