私が住むライプツィヒ市には、市内北部にゲオルク=シューマン通りという5キロを超える長い大通りがあります。この大通り沿いでは、毎年夏の終わりに「ナハト・デア・クンスト」(Nacht der Kunst、アートの夜)と呼ばれるアートイベントが開催されます。通り沿いにあるカフェやショップ、オフィスなどがアーティストに展示スペースを提供したり、アーティストがアトリエを公開したりします。
ナハト・デア・クンストの地図には57もの会場が
今年は9月7日(土)に開催され、公式のプログラムに記載されているだけでも57の会場がありました。イベントは16時にスタートし、24時まで続きます。来場者は会場を巡りつつ、おいしい食事や飲み物を楽しみながら、作品を鑑賞したり、音楽を聴いたり、さまざまなスタイルの作品に触れたりすることができます。アーティストが在廊していることも多く、ただ鑑賞するだけでなく、作品を作った人と話をしながらインタラクティブに作品を楽しめるのもいいですね。
私がオフィスを借りている「クンストタンカー」は巨大なギャラリーに
今年は私自身も、「クンストタンカー」(Kunsttanker)というクリエイターのためのアトリエハウスに借りているオフィスを公開。親交のあるウクライナ出身の女性アーティストを招いて一緒に展示をしました。夜が深まるにつれてお客さんの数が増え、ウクライナと日本のミックスという一風変わった空間で、作品の展示や販売を通じた交流ができました。
来客が落ち着いたところで、クンストタンカーで食事を提供していた友人と周辺の散策に出かけました。パン屋さんの屋外スペースや、普段は静かな図書館が入った建物の前でもライブミュージックが演奏されます。私たちも足を止めてしばし音楽に耳を傾け、いつもの大通りとはひと味違う、アートな夜を楽しめました。
カフェでの展示の様子
これまでは夜の散歩がてら家族で展示を見に行く側でしたが、今年は初めて自分のオフィスを利用してナハト・デア・クンストに参加しました。スペースを借りる場合でも出展料は数十ユーロからと良心的です。来年はより多くの来客を期待できるカフェなどで展示をしたら、よりナハト・デア・クンストを楽しめそう……などと、今から来年のナハト・デア・クンストが楽しみです。
IT系の翻訳者・プログラマー。オーストリア、インドを経てドイツへ。ライプツィヒには2016年より在住。三度の食事と、手に入らない食材を自分で育てるのが何よりの楽しみ。古巣のアート分野に戻りつつある。