ライプツィヒ市には、助成重点地区に指定されているエリアが6カ所あり、その地区を活性化させるために助成プログラムが用意されています。個人・団体を問わず、助成対象地域内での活動であれば、比較的短期間でも簡易に助成を申請することができます。地区によって助成額と条件が異なりますが、展覧会やワークショップなどの期間限定プロジェクトへは連邦政府と州が、設備投資や家具の設置など長期的な「投資」については市が財政を負担しています。この「投資」への助成額は、全体の50%で残りの半分は申請者の自己負担です。窓口となる各拠点の地域マネジメントは、申請書の書き方から相談にのってくれます。
助成を受けたストリートミュージック・フェスティバル
さて、この助成プログラムを審査するのは市の職員だけでなく、地域で活動する一般市民です。ライプツィヒ東部で2012年から活動している私たちの「日本の家」は、今ではしっかりと地域に根付いた存在になっています。空き家を活用し、地域住民と交流するという活動を通して、地域マネジメントをはじめとするさまざまな団体や個人と機会があるごとに関係を築いてきました。
3年に一度更新されるこの地域のための助成プログラムの審査員は、毎年開催される「地域フォーラム」の場で投票により選出されます。2016年の更新の際に審査員に立候補しないかと地域マネジメントに聞かれ、軽い気持ちで引き受けたところ、なんと最多票で当選しました(これは自慢です!)。選出された12人の審査員は、地域活動に関わっている人たちばかりで、モスクを運営しているトルコ人と私の2人が移民、それ以外はドイツ人です。
年に4回開かれる審査会では、申請者が短いプレゼンテーションをした後に質疑応答が行われ、最終的に助成額と条件を審査員の多数決で決めます。決め手となるのは「地域のため」になるかどうか。個人の利益と目的達成のために助成は受けられません。そして現実的に実行が可能な計画となっているか、予算案は妥当かどうかで決まります。自己負担金を計画しているかどうかも、どれくらい本気で実行を考えているかを図る指標になります。新しく地域で関わろうとしている人たちへの助成なので、古株の団体が何度も助成を受けることは基本的にできません。また、アーティストが作品を作って展示するから謝礼が欲しい、音楽家が演奏するから報酬を出してほしい、という要望も認められていません。地域に住む人たちにどのような「プラス」をもたらすかが判断の基準となります。地域に住む一般市民の私たちが、地域のために使う助成金の配分と条件を決めることは、民主主義と自治の基本だと思います。審査員として毎回楽しく審査会に出席しています。
地域助成プログラム(Verfügungs-fonds)の案内
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福岡県出身。日独家族2児の母。「働く環境」を良くする設計を専門とする建築家。2011年より空き家再生社会文化拠点ライプツィヒ「日本の家」共同代表。15年より元消防署を活用した複合施設Ostwache共同代表。
www.djh-leipzig.de