ジャパンダイジェスト

これは本物?偽物?キリストの遺体を包んでいた布

古くから各地のカトリック教会では、聖人の遺骨や、ゆかりの品々などを大切に保管してきました。そして熱心な信者たちは、その敬虔な信仰にあずかりたいと、それらの教会を巡礼してきた歴史があります。なかでも、イタリアはトリノのヨハネ大聖堂に保管されている、「キリストの聖骸布」が注目を集めてきました。これは、キリストが十字架上ではりつけにされた後、墓に埋葬する時に体を包んでいたとされる布です。聖書には、キリストが復活した際、墓の中から体が無くなって、布だけが残されていたと書かれています。

キリストの体を包んでいた亜麻布の写真キリストの体を包んでいた亜麻布の写真

私自身はプロテスタントの信者ですが、「聖遺物」と呼ばれるそれらのものに対しては、「巡礼者を呼び集めたいだけの、まがい物じゃないの?」と冷ややかに眺めていました。そんななか、昨年秋にミュンヘン中心地にある聖霊教会にて、キリストの聖骸布の信ぴょう性に関する展示会があったので行ってきました。

ネガに映ったキリストの様子ネガに映ったキリストの様子

残念ながらオリジナルの布はトリノに安置されたままで、ミュンヘンの展示会では聖骸布の写真が展示されていました。布の写真だけを見ると、所々に染みや焼け焦げのあるただの布にしか見えません。ところが写真技術が発明されてから、1898年に初めてその布を撮影したところ、驚いたことにそのネガフィルムに男性の姿が映ったとのこと(!)。その写真を元に、布に付着した血の跡や土の成分などから、聖書の記述を裏付けるさまざまな発見があったというのです。

例えば、キリストが被らされたといういばらの冠は、多くの絵画ではリング状の王冠のように描かれています。しかし、聖骸布に付いた血の跡から察するに、頭をすっぽりと覆う帽子のようなものであったことが明らかになりました。裸足で歩かされた足と、倒れて膝をついたところや顔の辺りの部分には土が付着していますが、その成分は欧州のものではなく、イスラエルのものだそう。時代が進むにつれてさまざまな研究が進み、本物としての信ぴょう性が高いとされてきました。

いばらの冠の予想模型いばらの冠の予想模型

私としては、それでもいくつかの点で疑問を持ちました。まず、布の長さから察するにキリストの身長は180センチくらいとのことですが、2000年前の中東で、そんな大きな人がいたというのはあり得ないのではないか、ということ。次に、血は人間のものと判明したそうですが、血液型がAB型ということ。「キリストは人に命を与える存在なので、誰にでも輸血できるO型の方が納得できる」と思いました。でも後から聞いたところによると、成分輸血ならAB型の方がどの血液型にも輸血できるとか……。いずれにしろ、聖書がただの空想物語ではないということが感じられる、大変興味深い展示会でした。これを読まれたあなたは、どう思われますか?

井野 葉由美(いの はゆみ)
イエス・キリストに出会って、声楽専攻から牧師に転身。2022年よりミュンヘン日本語キリスト教会牧師。今でも少女マンガ、オペラ、ダンスは大好きです。 www.muc-japan-christ.com/

 
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