ジャパンダイジェスト

エスリンゲン中世マーケット職人たちが技を披露

いよいよ2016年も暮れようとしています。クリスマスマーケットで友達や同僚と暖かいグリューワインを飲みながらイルミネーションを眺め、おしゃべりをすることこそがドイツ流のこのシーズンの過ごし方。すでに日本のドイツ旅行ツアーのプログラムにも含まれているエスリンゲンの中世マーケットは、近年ますます人気が集まっているようで、ご存知の方も多いかもしれません。私も実は毎年行っており、それでもまだ飽きないというのは、やはりこのマーケットの魅力ですね。

手で回す木製観覧車
手で回す木製観覧車

中世マーケットはただのテーマパークではなく、実はこのエスリンゲンの町の歴史と深く関わっています。織物通り(Webergasse)、製樽通り(Küferstraße)など、旧市街の至る所に残る道の名前は、かつてここが職人の町であったことを物語っています。しかし、工業化された現在は、多くの職人がその技術とともに町から消えてしまいました。だからこそ、その歴史が忘れ去られないように、年に一度、この中世マーケットに銀細工やブリキ職人、製本職人、蔓(つる)細工職人、鍛冶屋、馬具職人や革職人など、本物の職人たちが一斉に集まり、それぞれの技を披露しているのです。600年前へタイムスリップした町で、来場者は職人の技を体験できるワークショップなどにも参加できます。

子供たちに人気のねずみルーレット
子供たちに人気のねずみルーレット

また、スープ専門の屋台もおすすめです。定番のレンズ豆のスープはもちろん、シュワーベン地方の代表的な郷土料理ガイスブルガー マーシュ(Gaisburger Marsch)があります。これは「ガイスブルクへの行進」という意味ですが、この名前にはいろいろな由来があるようです。その中で私が気に入った一説を紹介します。あるとき、ガイスブルクの兵士たちが捕虜となり、差し入れは1日どんぶり1杯分の料理までしか許されていませんでした。兵士を愛する女たちが、一番美味しくて栄養のあるものを集め、丹精を込めて作った料理を持って、毎日ガイスブルクへ「大行進」を行ったというわけです。今ではビーフがベースになっているのがほとんどで、ジャガイモなどの野菜や麺入りのものもあります。身も心も温められますね。

そのほか、豚の丸焼きステーキもすばらしいです。豚を直火であぶり、焼きたてのパンに挟んでいただく、豪快な一品です。グリューワイン一つとっても、店によってこだわりレシピがあり、味が違います。個人的には旧市庁舎の目の前にあるBio グリューワインが一番のお気に入りです。?

今年のマーケットは12月22日まで、毎日11時~20時半まで営業中。

www.esslingen-marketing.de/weihnachtsmarkt-3

郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com
 
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