旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978 年東京生まれ。看護師を経て、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール」(タビール)をライフワークに、世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールにほれこみ1 年半ドイツで生活したことも。「ビール王国」(ワイン王国)、「ビールの図鑑」(マイナビ)、「BRUTUS」(マガジンハウス)など、さまざまなメディアで活躍中。
www.jbja.jp/archives/author/kogo

熱狂カーニバルに欠かせないケルシュと数字の「11」

カーニバルが始まる11月11日11時11分は、ケルンっ子にとって特別な時間。翌年の本番を前に、市民らは仮装姿で街に繰り出しシーズンの幕開けを祝って大騒ぎする。カーニバルの鍵となる数字は「11」。冬の到来を告げる聖マルティンの日(11月11日)に由来するという説や、キリスト教の十戒と12使徒に挟まれた奇妙な数字を奇妙な祭りの始まりにしたという説、ケルンでは、ケルン大聖堂の2本の塔に由来するという説もある。

カーニバル熱はクリスマスマーケットの開始とともに一旦落ち着くが、年を越すと再びそわそわし始める。各カーニバル協会による宴会(Karnevalsitzung)が次々とスタート。テレビ番組ではカーニバル特集が組まれ、衣料品店では仮装コスチューム売り場が拡大される。

2020年のカーニバルのスケジュールは、2月20日の「女性カーニバルの日(Weiberfastnacht)」から、翌週26日の「灰の水曜日(Aschenmittwoch)」まで。クライマックスは24日の「バラの月曜日(Rosenmont ag)」だ。この日には、国内外から大勢の人が訪れ、仮装姿でパレードを楽しむ。意匠を凝らした巨大な山車や音楽隊を加えたパレードは、全長7キロにも。ケルンでの掛け声は「Alaaf!(アラーフ!)」。音楽に合わせて歌って踊り、一種の無礼講状態だ。

祭りにはビールが欠かせない。ケルンのビールと言えばケルシュだ。せっかくだからビールも「11」にこだわりたい。Privatbrauerei Gaffelは、今年で創業111年目。ノーブルなホップの香りと苦みで、飲む手が止まらなくなり、カーニバルで騒いだ体に心地よく染みわたる。ケルシュは伝統的に200ミリリットルの円柱グラスで提供。グラスが空になると注文せずとも次々ビールがやって来る、「椀子ビール」方式というのも愉快だ。

寒い冬の憂鬱気分を吹き飛ばしてくれるカーニバル。ケルシュとともに、この冬も楽しく過ごしたい。

vol.35
Gaffel Kölsch

Gaffel Kölsch

 
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