ミュヘンで醸造マフィアが勢力拡大中!
ミュンヘンのビール界で今、革新的な醸造集団Munich Brew Mafiaが市民の心を掴みつつある。ロゴにはミュンヘン市民の憩いの場・オリンピア公園内にあるオリンピアタワーがデザインされており、地元を愛する「マフィアたち」の意思が感じられる。とはいえ、その商品名もボトルデザインもどこか恐ろしげだ。
創設者は二人の青年Dario StierenとNiklas Zerhoch。少年時代を共に過ごした二人はそれぞれ別の道を歩んでいたが、やがてミュンヘン市内のクラフトビアバーで仕事を始める。ビールについての探求心は尽きず、キッチンでの実験的なビール造りから始まり、他社設備を借りてオリジナルビールの醸造もするように。2018年には醸造経験があるAlexander Silbermannが加わり、本格的に醸造をスタート。現在は市内2カ所に自分たちの醸造所を設けている。
IPAやサワーエールなど流行のクラフトビールも造っているが、土台となっているのはミュンヘン伝統の醸造技術だ。彼らが重要視しているのは、飲み飽きずに何杯でも飲めるビールであること。定番商品の一つである「Das KriminelleHelle」(犯罪者へレス)は伝統のケラービールだ。柔らかい麦芽の風味と、溢れかえるように華やかなホップの香り、そして苦味が好バランスで飲む手が止まらない。「犯罪的においしい」ということで、この商品名がつけられた。
彼らはビール造りに留まらず、ビールの多様性を市民に知ってもらうための活動も行っている。市内のビアショップ「Die BIEROTHEK Munich」を旗艦(きかん)店とし、自社ビールと国内外300種類以上のビールを販売するとともに、ビールセミナーや醸造体験を開催しているのだ。映画の中のマフィアといえば、過激な存在ではあるがファミリーを大切にする。ミュンヘンにお越しの際には、ぜひファミリーの一員になってビールの多様性を体験されてはいかがだろうか。