お城で飲みたいバイエルン王室の末裔が造る白ビール
ドイツに名城は数あるが、最も観光客を集めているのはノイシュバンシュタイン城(Schloss Neuschwanstein)だろう。ディズニーランドの「眠れる森の美女」城のモデルにもなったこのロマンチックな城は、バイエルン第4代国王ルートヴィヒ2世によって19世紀後半に建てられた。一見すると歴史ある中世の城のように見えるが、コンクリートとモルタルでできた「趣味の城」。ルートヴィヒ2世はプロイセンとの戦争や政治という現実から逃避し、憧れるリヒャルト・ワーグナーの戯曲の世界を具現化すべくこの夢のお城を築いた。城は王の死により未完成であるが、バイエルンアルプスを背に岩山にすくりと立つ孤高の佇まいと内部の煌びやかな内装は、訪れる者を魅了してやまない。
ルートヴィヒ2世の家系であるヴィッテルスバッハ家は何かとビールに縁がある。1516年4月23日に現在でも有効な食品に関する法律として最古である「ビール純粋令」を発布したバイエルン公ヴィルヘルム4世。1810年にオクトーバーフェストの起源となった結婚式を開催したバイエルン王ルートヴィヒ1世もヴィッテルスバッハ家だ。
その家系が代々運営する醸造所がある。「König Ludwig Brauerei」だ。創立者は、13世紀生まれのバイエルン公ルートヴィヒ2世。醸造所は1260年にミュンヘンで創立され、1870年に騎士祭りで知られたカルテンベルグ城(Schloss Kaltenberg)内に移転した。現在はバイエルン王家最後の王ルートヴィヒ3世のひ孫であるルイートポルト王子によって運営されている。
ここで飲みたいのは、「König Ludwig Weissbier Hell」だ。フルーティーかつスパイシーな香りの後から、ホップの爽やかな苦味とレモンのような酸味が訪れる。すっきりと綺麗な味わい。ヴィッテルスバッハ家が築いた数々のお城とビール史に感謝!