11月8日、テーゲル空港(TXL)行きのバスX9に乗ろうとバス停に立つと、すでに空港直行の快速バスX9とTXLの表示は消えていました。代わりにやって来た109バスの行き先表示は「Tegel Urban TechRepublic」という聞き慣れない名前に。テーゲル空港の役割が事実上すでに終わったことを実感しました。
ベルリン・ブランデンブルク国際空港のメインターミナル
11月頭からの部分的ロックダウンにもかかわらず、ベルリンはテーゲル空港への惜別ムードに沸きました。7日の夕方、クルト・シューマッハー広場駅から近い飛行機撮影で知られるスポットに足を運ぶと、この空港への離着陸シーンを目に焼き付けようとする人々が多く集まっていました。旅客機が着陸するのは、この日が最後。19時半からの地元の公共放送rbbのニュースでは、テーゲル空港からの中継に大半の時間が割かれ、六角形のメインターミナルのにぎわいを伝えました。西ベルリン出身のミヒャエル・ミュラー市長の「テーゲル空港はベルリン市民にとって、本当に世界への門でした」という言葉にも実感がこもります。
8日のお昼にテーゲル空港に着くと、発着案内表示に記されたのは、ターミナルCから出るエールフランスのパリ行き1235便のみ。1960年テーゲル空港に初めて着陸した旅客機がパリ発のエールフランス便だった歴史背景から、このような粋な舞台が用意されたのです。
テーゲル空港の閉港前日、最後の離着陸を眺める人々
15時過ぎ、最後のエールフランス機は数百人もの空港の従業員に見送られ、消防隊による放水セレモニーを経て、澄み切った青空の彼方へと飛び立って行きました。
とはいえ、惜別ムード一色だったわけではありません。周辺住民にとっては飛行機の騒音から解放された日でもあります。テーゲル空港の廃止を訴えてきたパンコウ地区の市民グループが、最終便の離陸に合わせて祝杯を上げる様子も報じられました。
テーゲル空港の最終便となったエールフランスの飛行機
今後、空のターミナルは10月31日にオープンしたベルリン・ブランデンブルク国際空港(BER)に一本化されます。テーゲル空港が幕を閉じた2日後、新空港に足を運んでみました。ツォー駅からはレギオナルバーンのRB14で所要時間40分。終点のターミナル1-2駅の真新しいエスカレーターを上がって行くと、チェックインカウンターが見えてきます。
アメリカ出身のアーティスト、パエ・ホワイトによる、赤い金属をクモの糸のように張り巡らせたインスタレーションが目に止まりました。全体的に赤を基調としたデザインが施され、木目調のカウンターと調和が取られています。なかなかの好印象を受けましたが、構内は閑散としており、再び自由に移動できる日が戻ることを今は願うしかありません。