ジャパンダイジェスト

レトロバスに乗って孔雀島へ

新緑の美しい初夏の季節、広大な森が広がるベルリンの郊外に出てみるというのはいかがでしょうか。今回は、ベルリン最大級の湖ヴァンゼー(Wannsee)に浮かぶ孔雀島(Pfaueninsel)へのコースをご紹介したいと思います。

ヴァンゼーへ向かう交通手段はいくつか考えられますが、中でも地下鉄U2のTheodor-Heuss-Platzから孔雀島直行の218番バスがおすすめです。平日は1時間毎、週末は30分毎に出ており、さらに2時間に1本、ベルリンのオールドバス愛好会が所有する1970年代の2階建バスが走っているのがこの路線の特色で(公共バスの通常運賃で乗車可)、ちょっとしたレトロ気分も味わえるでしょう。

レトロなバス
レトロなバスに乗っていざ出発!

バスはしばらく西へまっすぐ走りますが、やがて左折すると、広大なグリューネヴァルトの森の中を駆け抜けます。車窓はまさに緑一色!右手にはハーフェル川が顔を覗かせます。ヴァンゼーの駅を過ぎるとバスは再び森の中に入り、抜け出たところが終点の孔雀島前です。所要時間は約50分で、まるで別世界に来たかのようなのどかな光景が広がっています。

湖
湖沿いの眺めは、都会の喧騒を忘れさせてくれる

渡し舟(5~8月は毎日運行。往復2ユーロ)に乗って孔雀島へ渡ってみましょう。フリードリヒ・ヴィルヘルム3世(在位:1797-1840年)の時代に、宮廷庭師によって現在の形に整えられた孔雀島は、「ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群」の総称で世界遺産にも登録されています。全長1.5キロほどの島なので、ハイキングコースとしてはほどよい規模。18世紀末、フリードリヒ・ヴィルヘルム2世が愛人のために建てさせたという廃墟調のお城もユニークですが、島の由来である、放し飼いにされている孔雀がやはり大きな見ものです。堂々たる羽や鮮やかなブルーの羽毛、独特の鳴き声など、忘れがたい印象を残してくれました。

クジャク
島には約35羽の孔雀のほか、貴重な動植物が生息している

再びバスでヴァンゼーの駅前に戻ってからは、やはりBVG(ベルリン交通局)の料金で利用できるF10番の船で、対岸のクラドウ(Kladow)に抜けるコースも素敵です。湖沿いのレストランでくつろいだ後、X34番のバスに乗れば、ベルリンのツォー駅まで乗り換えなしで帰ることができます。

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし)
ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
守屋 亜衣(もりや あい)
2010年頃からドイツ各地でアーティスト活動を開始し、2017年にベルリンへ移住。ファインアート、グラフィックデザイン、陶磁器の金継ぎなど、領域を横断しながら表現を続けている。古いぬいぐるみが大好き。
www.aimoliya.com
佐藤 駿(さとう しゅん)
ドイツの大学へ進学を夢見て移住した、ベルリン在住のアラサー。サッカーとビールが好きな一児のパパです。地元岩手県奥州市を盛り上げるために活動中。
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