アメリカ合衆国の独立記念日だった7月4日、ブランデンブルク門南側の新しい米国大使館が、メルケル首相やブッシュ元大統領ら独米の要人を招いて正式にオープンしました。その翌日は、パリ広場から6月17日通りにかけてアメリカフェスト(Amerikafest)が開催され、大勢の市民が集まりました。
ベルリンに住んでいると、戦後米国がこの街に残したものの大きさを実感することが少なくありません。西側の自由大学(FU)、記念図書館(AGB)、5月に歌舞伎公演が行われた「世界文化の家」(元の名はコングレスハレ)などは全て米国資本によって造られたものですし、冷戦時代、陸の孤島だった西ベルリンを訪れて自由の重要性を唱えた歴代米大統領の演説は、「私は一人のベルリン市民である」の名ゼリフを残したケネディや壁の崩壊を訴えたレーガンの例を持ち出すまでもなく、今でも繰り返し語られます。
セキュリティー対策も万全の新大使館
ベルリンにおける米国大使館の歴史は実はかなり古く、1797年には最初の米国大使(後に大統領となるジョン・クィンシー・アダムズ)がプロイセンの首都に送り込まれています。1920年代に米国がブランデンブルク門南側に土地を買い取り、後に大使館がこの地にオープンしますが、第2次世界大戦とその後の東西分断により、実際に使われたのはわずか数年でした。今回、67年ぶりに元の場所に戻ったことになります。
アメリカフェストでは、安全上の理由から市民が新しい大使館に入れる機会はなかったものの、ライブ演奏や各種の屋台は家族連れなどで賑わっていました。中でも、米民主党のブースで配られていた「OBAMA'08」と印刷された風船は大人気。最近の世論調査によると、ドイツ人の72%がオバマ氏を次期大統領として支持しているとの結果が出ています。
25万人の市民が集まったアメリカフェスト
今月24日、そのオバマ氏が遊説のためベルリンにやって来ます。メルケル首相との会談のほか、ブランデンブルク門前での演説も計画されているそうで、ベルリン、しいてはドイツと米国の今後を占う意味でも、大きな注目を集めるのは間違いありません。