ジャパンダイジェスト

「音楽で世界を結ぶ」ヴェルニゲローデ放送青年合唱団

ヴェルニゲローデ放送青年合唱団のコンサートよりヴェルニゲローデ放送青年合唱団のコンサートより

日本ツアーの印象を語る合唱団のメンバーたち日本ツアーの印象を語る合唱団のメンバーたち

美しい木組の家並みで知られるザクセン=アンハルト州のハルツ山麓の街、ヴェルニゲローデ。東ドイツ時代の1951年に設立されたヴェルニゲローデ放送青年合唱団は、地元の音楽高校の11年生と12年生(16~18歳)で構成された、ドイツでも著名な混声青年合唱団です。8月27日、この合唱団がベルリン日独センターに登場し、昨年11月に実施した日本ツアーの報告を兼ねた記念公演を行いました。

今回の日本ツアーに大きな役割を果たしたのが、親日家で知られるクリスティアン・ヴルフ元連邦大統領です。ドイツ合唱連盟総裁を務めるヴルフ氏は、ある時ヴェルニゲローデ放送青年合唱団の歌唱を聴いて感銘を受け、彼らに日本行きを提言しました。1年半という短い準備期間ながら、日独のさまざまな機関の協力を得てツアーが実現することになったといいます。

日本ツアーで彼らが最初に訪れたのは徳島県鳴門市。第一次世界大戦中にドイツ兵が捕虜として暮らした坂東俘虜収容所があった場所です。この地では、1918年にアジアで初めてベートーヴェンの交響曲第9番が全曲演奏されました。ヴェルニゲローデの合唱団は、今回の公演で地元の徳島少年少女合唱団と共演し、第九の「歓喜の歌」を歌いました。ほかにも東京横浜独逸学園との交流や、作曲から300年を迎えるバッハの「マニフィカト」の合同コンサートを慶應義塾大学古楽アカデミーと行うなど、幅広い交流プロジェクトが組まれました。

この日、合唱団のメンバーとの対談が予定されていたヴルフ氏は、健康上の理由で残念ながら欠席となりましたが、数人のメンバーが登壇し、「日本独特の贈り物文化に感銘を受けた」「列車が常に時間通りに来たのにはびっくり」「合同演奏会の練習には通訳がいないときもあったけれど、それでも音楽をする上で支障はなかった」「鳴門の収容所でドイツ兵捕虜が人道的に扱われていたことを知り、日独交流の歴史に興味を持った」など、日本で感じたことをそれぞれが率直に語りました。

芸術監督のロベルト・ゲステル氏の指揮により披露されたのは、メンデルスゾーンのモテットといったドイツ語の曲から、日本でも披露されたという「さくら」、黒人霊歌、ポピュラー音楽まで幅広いナンバー。この日の催しには、在ドイツ日本国大使館の柳秀直大使やベルリンのカイ・ヴェーグナー市長など、日独の要人の姿もありました。若者たちの生き生きとした歌声を聴きながら、このコンサートのタイトル「音楽で世界を結ぶ」(Verbindungen schaffen mit Musik)という言葉を反芻しました。

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし)
ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
守屋 亜衣(もりや あい)
2010年頃からドイツ各地でアーティスト活動を開始し、2017年にベルリンへ移住。ファインアート、グラフィックデザイン、陶磁器の金継ぎなど、領域を横断しながら表現を続けている。古いぬいぐるみが大好き。
www.aimoliya.com
佐藤 駿(さとう しゅん)
ドイツの大学へ進学を夢見て移住した、ベルリン在住のアラサー。サッカーとビールが好きな一児のパパです。地元岩手県奥州市を盛り上げるために活動中。
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