3月25日、欧州連合(EU)の礎となったローマ条約の調印から50周年を迎え、ベルリンで記念の式典が行われました。EU27カ国の首脳が集まり「ベルリン宣言」が採択されたことは本紙でもすでに取り上げられていますから、今回は50万人以上の市民が参加したといわれるオイローパフェスト(Europafest)の様子をお伝えしたいと思います。
24日の前夜祭は「ヨーロッパ美の夜」で幕を開けました。博物館島の美術館群や文化フォーラムなどベルリンが誇る美の殿堂が深夜までオープンし、ヨーロッパ各国の音楽やダンスのグループが彩りを加えるというものです。ベルリンからは前回少し触れたサシャ・ヴァルツのグループがペルガモン博物館の壮麗な「ゼウスの大祭壇」の前でダンスを披露しました。そして23時からは「ヨーロッパクラブナイト」。EU全加盟国のDJがベルリンの30以上のクラブに集結しての大パーティーです。ヨーロッパが生み出した伝統の美だけでなく、 最新の音楽も紹介する趣向がユニークだと思いました。これが政府主導のイベントというのですから、ある意味驚きです。
EU50周年で市民もお祝い
翌25日はいよいよお祭り本番。ブランデンブルク門や6月17日通り周辺にはEU各国や諸機関のブースと屋台が並び、特設ステージに人気グループが続々と登場しました。ヨーロッパ各国の名物を頬張りながら政治にも親しめるという趣向です。私がブランデンブルク門を訪れた14時過ぎには、EU首脳会談を終えたばかりのメルケル首相とバローゾ欧州委員会委員長が駆けつけ、EUという共同体が持つ意義と今後の抱負を語った後、全員によるカウントダウンでブルーの風船が青空に打ち上げられました。
「50年前のローマ条約の時と違うのは、このような機会を政治家だけでなく市民も一緒に祝えるようになったこと」。これは司会を務めた女性の言葉ですが、わずか18年前までこの街の中心に国境があった現実を思うと、ベルリンがEUの中心としてこの日を迎えたこ とにやはり感慨を抱かずにはいられませんでした。
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