まだ一度も訪れたことのない省庁をと思い、私はまずシュプレー川に面した現代的な建築の内務省に行ってみました。ここでは1時間ごとに内部の見学ツアーが開催されていたほか、各ブースでは内務省が普段どういう業務を扱っているのか、現場の職員が訪れた人に直接説明する場面も多く見られました。中庭には食べ物の屋台が並び、特設ステージではトーマス・デメジエール内相が、冬季オリンピックで3度の金メダルを獲得したスピードスケートのグンダ・ニーマン=シュティルネマンや、この夏の陸上欧州選手権で走り幅跳びの金メダリストになったクリスティアン・ライフといったスポーツ選手らと、「ドイツ再統一20年」というテーマでトークショーを行いました。スポーツの振興も内務省の仕事の柱の1つなのだそうです。壁崩壊まで東ドイツでスケートをしていたシュティルネマンさんと、西ドイツ出身で当時まだ5歳だったライフさんですが、一般によく言われる東と西の隔たりというものは、スポーツ界に限って言えばどんどんなくなりつつあるのではないかというポジティブな変化を感じました。
内務省でのトークイベント。左からライフ、
ニーマン=シュティルネマン各氏とデメジエール内相
次に訪れたのは、フリードリヒシュトラーセ駅前にある連邦ジャーナリズム局。ここはドイツ内外のジャーナリストがよくお世話になる場所です。中に入るとここでもやはりドイツ再統一20年をテーマにした新聞の展示があり、子どもが楽しめるコーナーも用意されていました。そこを突き抜けて行くと、緑豊かな大きな中庭で人々がくつろいでいる姿が目に入りました。外観からで はわからない意外な場所を発見するのも、オープンデーならではの楽しみと言えるかもしれません。
最後に、連邦ジャーナリズム局から徒歩5分の場所にあるフランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)紙のベルリン支局に行ってみました。ドイツを代表する高級紙も、この期間に合わせて一般公開をしていたのです。約100年前に銀行として建てられた建物の中にFAZ紙の支局はあり、メルケル首相が年に2回、取材を受けるために訪れるという談話室や支局長の仕事部屋など、重厚かつシンプルな内装に目を奪われました。
緑あふれる連邦ジャーナリズム局の中庭