ジャパンダイジェスト

125周年を迎えたクーダム

この5月、ベルリンの西地区を代表する目抜き通り「クーダム」こと、クアフュルステンダムが完成から125周年を迎えました。

「選帝候の道」を意味する全長3.5キロのクーダムは、そもそも16世紀、ブランデンブルク選帝候ヨアヒム2世が中心部の王宮からグルーネヴァルトの狩りの館に出向くために通る道として整備されたのが最初です。とはいえ、この通りが歴史の表舞台に登場するのはそれから大分後のこと。19世紀後半、宰相ビスマルクがパリのシャンゼリゼ通りをモデルに、幅54メートルの大通りにする拡張工事に着手したのです。やがてブールバール(街路樹や側道を備えた広い道路)として完成した1886年5月5日が、クーダムの公式の誕生日となっています。

それから125年後の同日、ヴォーヴェライト市長が参加してメモリアルイヤーの開幕を迎えました。ヨアヒムスターラー通りとの角にある老舗カフェ「カフェ・クランツラー」は、道行く人々に記念のケーキをふるまったそうです。

クーダム
10月16日まで、ガラスのショーケースに
125の歴史が展示されているクーダム

今、クーダムを歩くと、街灯に金色の大きなリボンが飾られているほか、通り沿いのガラスのショーケースに「125年、125の歴史」というタイトルの展示がされていることに気付くはずです。自由な空気に満ちあふれていた「黄金の20年代」、やがて始まるナチスによるユダヤ人排斥(当時クーダムでも多くのユダヤ人がデパートや商店を経営しており、閉店・接収を余儀なくされました)。また、1989年の壁崩壊の翌日は、西の繁栄の象徴だったクーダムに東独市民が殺到し、東西のベルリン市民が最初に出会った場所としても記憶されています。クーダムが歩んできた、そ んな起伏に富んだ歴史を、建築、流行、商業、文化など125のポイントから紹介したもので、私はぶらぶら散歩しながら楽しみました。

それにしてもクーダム周辺は現在、日に日に風景を変えているように思えます。ランドマークのカイザー・ヴィルヘルム記念教会は約3年間の大改装中で、戦後、長らくベルリン国際映画祭のメイン会場だった映画館ツォー・パラストや周辺の商業施設も同様。その前には32階建ての新しいビル「ツォー・フェンスター」が全貌を表しつつあります。この20年間、都市開発で注目を浴びていたのはポツダム広場やミッテですが、今クーダムの変化が新たな注目を集めているのは間違いありません。

カイザー・ヴィルヘルム記念教会とツォー・フェンスター
改装中のカイザー・ヴィルヘルム記念教会と
建設が進むツォー・フェンスター(右)

これから10月にかけて、クーダムではさまざまなお祝い行事が予定されています。記念教会のあるブライトシャイト広場にはインフォスタンドが立っていますし、www.kudamm2011.deでも詳細情報がご覧になれます。

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし)
ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
守屋 亜衣(もりや あい)
2010年頃からドイツ各地でアーティスト活動を開始し、2017年にベルリンへ移住。ファインアート、グラフィックデザイン、陶磁器の金継ぎなど、領域を横断しながら表現を続けている。古いぬいぐるみが大好き。
www.aimoliya.com
佐藤 駿(さとう しゅん)
ドイツの大学へ進学を夢見て移住した、ベルリン在住のアラサー。サッカーとビールが好きな一児のパパです。地元岩手県奥州市を盛り上げるために活動中。
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