映画「グッバイ、レーニン!」の舞台ともなったアレクサンダー広場(通称アレックス)周辺は、いまベルリンでもっとも劇的に変わろうとしている場所です。特に広場東側では至るところで舗装工事が行われており、足の踏み場もないほどなのですが、その一角に建設中の奇抜な建物が、ベルリンっ子の大きな注目を集めつつあります。
それは、秋にオープンする大型ショッピングセンター「Alexa(アレクサ)」です。近年ベルリンには新しいショッピングモールが次々に建ちましたが、いざ中に入ってみるとどこも同じチェーン店が並ぶばかりで「無個性」というイメージが私の中には強くありました。しかしこのAlexaは、外観といい中身のコンセプトといい(もちろん大手チェーン店はたくさん軒を構えることになりますが)、全く無関心ではいられない何かがあるのです。まだ工事中ですが、気になる私は先日足を運んできました。
まずアール・デコ様式によるバラ色の豪壮なファサードは、ベルリンが戦前もっとも輝いていた1920年代の建築をイメージしているのだとか。建物は5階まであり、5万4000平方キロメートルに及ぶ敷地内に並ぶ店の数は実に180店。これはベルリンのショッピングセンターとしては最大級の規模です。投資元であるポルトガルのSonae Sierra社の社長によると、他のショッピングセンターとは違う個性を打ち出そうと計画しているのが、世界中の料理が食べられるレストラン部門と娯楽施設だとか。特に後者では、家族で楽しめるアミューズメント施設キンダーシティ(Kindercity)のほか、ベルリンの街並みを精密に再現した鉄道模型の巨大レイアウト「LOXX Miniatur Welten」などが目玉になりそうです(これらは別途で入場料が必要)。
Sバーンの車窓から
それにしても、社会主義時代の建物が多く並ぶ中、こつぜんと現れるAlexaは、この周囲でかなりの異彩を放っています。これをどう見るか。先日、新聞にこのショッピングセンターのニュースが取り上げられた数日後、「次なる罪深い建築だ」という一市民の痛烈な批判の投書が掲載されていました。さて、地元民や旅行者にはどのように受け入れられるのでしょうか。
Alexaのオープンは9月12日。その様子はまたここでお伝えできるかもしれません。