建設段階から大きな論議を呼んでいたクロイツベルク地区のマクドナルド第1号店が、9月14日、ついにオープンしました。先日もお伝えしましたが、クロイツベルクはトルコ系を始めとした移民がとりわけ多く住む地区です。それゆえ文化の多様性を尊ぶ傾向がもともと強く、左翼系の運動もさかんで、毎年5月1日の暴動はクロイツベルクの悪しきイメージを世界に知らしめることになってしまいました。
だからこそ、この界隈の軽食スタンド(インビス)で圧倒的な勢力を誇るメニューは、ハンバーガーではなくトルコ系のドナー・ケバブです。マクドナルドの支店はベルリンに約60店ありますが、15万人が住むクロイツベルクにこれまでマクドナルドが1店もなかったというのは、ある意味驚くべきことでした。それだけに、ケバブが象徴する多文化主義のクロイツベルクに、グローバリズム(さらに言えば、世界平均化)の象徴であるマクドナルドが乗り込んでくるということは、この界隈の人々にとって、一つの「事件」と言っても過言ではなかったのです。
親子連れが目立つ第1号店
案の定、一部の住民からは反対運動が起こり、工事現場に石が投げ込まれるという事態も発生しました。そんな緊張感の中でオープンした、クロイツベルク1号店を訪れまし た。場所は地下鉄U1とヴランゲル通りが交差する地点です。黄色の地下鉄を背景にしたおなじみのロゴマークは、やはりこの地においてはちょっとした異彩を放っているように見えました。店の前の芝生が柵で囲まれていたのも、ベルリンでは異例のこと。荒らされるのを恐れてのことでしょうか。
ロゴの背後には黄色の地下鉄1号線が走る
真新しい店内に入ってみるとなかなか賑わっており、とりわけ子ども連れの親子の姿が目に付きました。ちなみに、クロイツベルク1号店の店長は、この地ならではと言うべきか、ベルギン・ギュッツェルさんというベルリン生まれのトルコ系女性です。
ケバブ王国のクロイツベルクで、マクドナルドがこれからどのような地位を固めていけるか、注目です。