10月16日から28日の間に、たまたまベルリンを訪れた方はきっと驚かれたことでしょう。照明アーティストのヤン・カスパー・クリッツィング(Jan Caspar Klitzing)らの演出によって、ブランデンブルク門や戦勝記念塔、テレビ塔といった街のシンボルである建造物からホテル、ショッピングモール、各国大使館に至るまで、計40以上もの建物や広場が、普段とはまったく異なるイルミネーションで夜の街を照らしたからです。今回で3回目となるイベント「光の祭典 (Festival of Lights)」は、歴史こそ浅いものの、地元の人々や観光客に好評で年々規模も拡大しています。
ブランデンブルク門もご覧の通り
ある週末の夜、ブランデンブルク門からテレビ塔まで歩いてみました。今年100周年を迎えたホテル・アドロン(Hotel Adlon)は今回が初参加で、今年のモットー「ベルリン・時の経過の中で」にちなみ、ホテルの歴史をたどる写真が建物の正面に映し出されていました。目抜き通りのウンター・デン・リンデン(Unter den Linden)では、落葉間近の菩提樹の紅葉が夜空に浮かび上がり、同じ通りに面したコーミッシェ・オーパー(Komische Oper)では、スピーカーから流れる音楽と照明がリズミカルに連動するという、オペラ劇場らしい光のショーに魅了されました。
中でもインパクトがあったのは、大聖堂のイルミネーションです。教会の大きなファサードに幾何学的な模様が次々と浮かび上がり、まるで万華鏡を覗き込んでいるかのよう。日ごろ見る機会の多いテレビ塔も、普段とはまったく異なる顔を見せていました。
万華鏡のような大聖堂
この祭典は、毎年10月最後の土曜日の恒例イベント「ショッピングの長い夜(Lange Nacht des Shopping)」とともに幕を閉じました。夏時間から冬時間に変わると、外の寒さはいよいよ厳しくなります。そんな季節の移り目の華やかなイベントでした。