10月20~24日までの5日間、フランクフルトのメッセホールで本の見本市「フランクフルト・ブックフェア」が開催されました。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大により、デジタルのみでの開催でしたが、今年は感染防止対策を徹底した上で、2年ぶりに対面での開催が実現。オンラインでのイベントやカンファレンスなどのデジタルコンテンツも充実させて、コロナ時代のメッセとしてリアルとデジタルを組み合わせた開催となりました。
メッセ会場。向かって左はワクチンセンター、右はブックフェア入り口
最初の2日間はビジネスデー、週末を含む3日間は一般客も入場可能で、出版関係者や作家、印刷業者など、本に関わるさまざまな業種の人たちや本好きの人たちが会場を訪れていました。なおブックフェアへの入場に際しては、3G ルールが適用されています。メッセ会場はコロナ禍ではワクチンセンターとして活用されているので、ワクチンセンターとブックフェアの入り口が隣り合っていました。出展者の数も例年より少なく、各ブース間の距離や通路の幅も大きく取られていることに加え、会場内にはPCR検査の案内板も見られるなど、コロナ禍の状況を象徴しているかのような会場の雰囲気でした。
Re:connectをモットーに開催されたブックフェアのオープニング配信
初日のオープニングセレモニーやプレスカンファレンスもストリーミング配信され、会場に来られない人でも世界中からリアルタイムで視聴することができました。さらに期間中は毎日、メッセ会場ステージのリアル講演がライブ配信され、リアルとデジタルの同時進行でイベントが行われます。また出版や文学についてのディスカッションには、オンラインでも参加可能。通常であればビジネスデーに開催されるため参加できないイベントでも、今回はデジタルを通じて一般の人でも参加できるようになっていて、うれしい変化だと思いました。
市内に展示されたカナダ文学をテーマにした作品「LOOP」
また今年もブックメッセに合わせて、朗読会や本にまつわるディスカッション、作家によるサイン会などが市内各地で開催。私も市内中心部で行われた「LOOP」という展示を観に行きました。今年のメッセ招待国であるカナダの文学をテーマに、子どもから大人まで展示を楽しみながら自然と文学に触れられるインスタレーション作品です。カフェでの朗読会や、図書館での児童書の新作読書会など、見本市としての商業的な役割だけでなく、文学の祭典としても重要な役割を果たしているように感じました。通常よりも現地の出展者数や来場者数は減少してはいますが、期間中は市内のホテルや商業施設が利用されるなど、観光面での貢献もありました。リアルとデジタルの同時開催などの工夫をしつつ、これからもブックフェアが存続していくことを願います。
フランクフルト・ブックフェア:www.buchmesse.de
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。 Twittter : @nikonikokujila