マイン川沿いを走る1本の線路。普段は鉄道車両が通ることもなく、ところどころ線路が芝生に埋もれている部分もあったりするので、気付かない方も多いかもしれません。しかし廃線路というわけではなく、アイゼルナー橋(Eiserner Steg)のたもと付近には、しっかりと停車駅まで存在するのです。
駅の名前は“Eiserner Steg”で、現役活動期間は1859~1913年。リンブルク(Limburg)とフランクフルト南(Frankfurt(Main)Süd)を結ぶ鉄道駅として活躍していました。その後も貨物線の駅としての利用が続きましたが、第2次世界大戦でマイン川にかかるすべての橋が壊されたため、これを機に機関車が通ることもなくなってしまいました。線路も駅も使われることなく時が過ぎていきましたが、それを惜しく思った“Historische Eisenbahn Frankfurt e.V.”という、鉄道・機関車の歴史を後世に伝える活動をしている協会が1979年以降、年に数回、当時の機関車を走らせるイベントを開くようになりました。
マイン川沿いを走る機関車
4月第3週の日曜日がちょうどそのイベントの開催日だったため、あの線路に機関車が通る様子を一目見ようと、出掛けてきました。春の陽気に包まれた昼下がりということもあり、マイン川沿いには散歩や日向ぼっこ、ボール遊びに興じる家族連れがたくさん。そんな中を黒く厳つい車体が煙を吐きながら現れました。線路脇の芝生で遊んでいた子どもたちは突然の機関車の登場に驚きつつも、思わず後を追いかけていました。今回はディーゼル機関車の運行でしたが、蒸気機関車が走る回もあるそうです。もちろん乗車可能で、ちゃんと食堂車両まであります(次回の開催予定は8月15日)。このマイン川沿いを走るイベントではEiserner Steg駅を中心に往復1時間弱の運行ですが、もっと長くこのレトロな旅を楽しめる催しもあります。
例えば5月23~24日には、ケーニヒシュタイン(Königstein)からヘキスト(Höchst)までを蒸気機関車が走ります。フランクフルトが誇るSL「01118」も登場するそうなので、鉄道好きは必見です。今年はドイチェ・バーン開通175周年にあたり、国内各地で鉄道関連のイベントが多く行われています。煙を吹きつつ、シュッシュ、ポッポッと走るノスタルジックな旅もたまには良いですよね。
www.frankfurt-historischeeisenbahn.de
www.dampflokmuseum.de
車内は意外に(?)キレイ
ドイツW杯の折に渡独。初めてのドイツ、初めてのヨーロッパの地がフランクフルトでした。昼間から堂々とビールを飲める素敵な文化に魅せられて、1年間の滞在予定が、気がついてみれば3年目突入。こうなったら、次のW杯もドイツで観戦だっ!