ジャパンダイジェスト

歴史情緒溢れる水の都シュターデを訪ねて

ハンブルクから西へ約45キロ、アルテス・ラント地方にあるハンザ都市シュターデは、ちょうど私の住むヴェ-デル市のエルベ川を挟んで対岸にあります。ニーダーザクセン州に属しますが、ハンブルクからSバーンで小1時間。歴史を感じさせる美しい街並みが人気で、いつも多くの旅行者でにぎわっています。

にぎやかなハンザ港にぎやかなハンザ港

シュターデは濠(お堀)に囲まれた街。シュターデ駅で下車して、濠でボート遊びをする人々を眺めながら「ハンザ橋」を渡ると、まもなく旧市街に入ります。旧市街の通りには、この地方独特の木組みの家々が並び、まるで中世にタイムスリップしたかのようです。約1000年の歴史を誇る北ドイツ最古の都市でもあるシュタ-デですが、残念なことに1659年に起きた大火災で街の3分の2、約500件あまりの建物を失いました。現在の建物は、その後に建てられたり、修復されたりしたものです。

かわいらしいお店や木組みの家々を眺めながら歩いていくと、木製の大きなクレーンが現れます。この「アルタークラーン」は、1661年に造られたオリジナルを1970年代に再構築したもの。昔は商船の荷の積み上げ下ろしに使われていましたが、現在はツーリストインフォメーションとなっています。クレーンの前にあるのが、この街のハイライトでもある「ハンザ港」。シュターデは13世紀からハンザ都市として栄えましたが、1601年にハンザ同盟から脱退させられました。その後ようやく2005年、都市開発と観光開発の促進と成果が認められ正式にハンザ都市となりました。昔は魚市場があった運河沿いの辺りは、カフェやレストランが並んでいて活気があり、当時の繁栄の面影が感じられるようでした。

木造のアルタークラーン木造のアルタークラーン

運河に沿ってさらに北へ行くと、スウェーデン倉庫博物館があります。かつてシュターデはスウェーデンに支配されていた時期もあり、この建物は、その当時にスウェーデン軍の倉庫だった場所で、現在は郷土博物館になっています。

にぎやかな港から、旧市街にそびえ立つ教会の塔を目指して細い路地に入ると、静かなたたずまいの教会が現れ、パイプオルガンの音が聞こえてきました。喧騒を逃れてそっと中に入ると、一瞬にして静かな空間に包まれます。この聖コスマエ教会(12世紀創設)のオルガンは、北ドイツの代表的オルガン制作者であるアルプ・シュニットガーが携わったものです。とても華やかな、まるで芸術作品のような美しバロック風のパイプオルガンです。

シュニットガーのパイプオルガンシュニットガーのパイプオルガン

大火災後の1675年、オルガン制作者フスが、彼の従弟でもあり見習い職人だった若きシュニットガーを連れてこの教会でオルガンを制作。シュニットガーは、これをきっかけにシュターデに住み、オルガン制作者として修業を積んだのでした。澄んだパイプオルガンの音は、この古く美しい街にとても似合っていました。

岡本 黄子(おかもと きこ)
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


Nippon Express ドイツ・デュッセルドルフのオートジャパン 車のことなら任せて安心 習い事&スクールガイド バナー

デザイン制作
ウェブ制作

ドイツ便利帳サーチ!

詳細検索:
都市
カテゴリ選択