前回の当コーナー(2月1日発行947号)で、市内中心部からHafen Cityに通じる新地下鉄ラインをご紹介しましたが、そのHafen Cityには近頃、いくつかの新しい博物館が誕生しています。今回はその中の1つ、ハンブルク国際海事博物館(Internationales Martimes Museum Hamburg)をご紹介しましょう。
9階建ての大きな博物館の入口には、大砲の模型が置かれています。内部には船と海事に関する、ありとあらゆる物が展示されており、しかもその展示物はすべて、ペーター・タム氏という個人が蒐集したというから驚きです。タム氏は船と海事の国際的な歴史を次代に伝えたいと願い、自身の生涯を掛けて実に様々なものを蒐集したそうです。
同博物館の展示内容をざっとご紹介しますと、昔の地図やコンパス、15世紀以降の帆船の模型、大航海時代の航路図、蒸気船やモーターの仕組み、海洋の通信機器、各国海軍の制服、軍艦や潜水艦の模型、豪華客船の模型とその実物大の室内、そこで使われている食器の展示、海底探知機と深海の生物、海と船にまつわる絵画、ミニチュア船などなど……。個人がどのようにしてこれほど多くのものを蒐集できたのかと、感心するばかり。すべての展示品を見学するには、かなりの時間を要すると思われます。
海軍の制服が勢揃い。どこかに日本のものもあるはず
海戦史のコーナーには日本に関する展示もあり、中でも日露戦争は、近代軍艦が初めて投入された戦争として紹介されています。日本語の絵図もあり、「日露海戦 日本大勝利萬歳」と書かれていました。また、軍艦の模型コーナーには第2次世界大戦時に登場した戦艦大和と戦艦利根が展示されています。外国の博物館で日本のものが展示されているというのは、なんだか不思議な気がしました。
戦艦大和の模型
2002年12月10日、この博物館のための財団の創立式で、タム氏は次のように語っています。「将来を構築するために歴史を胸に刻み、歴史的な歩みを現在から見つめることは、成熟した市民の務めである。私の目的は歴史を体験し、その歴史を科学的に研究すること、芸術文化をある1つの時代あるいは地域の思考として理解すること、そして人々が政治的に偏向せず、時代に特異な考え方に束縛されないことを学ぶ手助けをすることである」。膨大な蒐集物には、彼のそのような壮大な想いが込められているのだと感じさせられました。
また、おもちゃのブロック、レゴで作られたクイーン・メリー号や、実物大の潜水艦の内部も展示されており、特に男の子たちには飽きることなく楽しめるお勧めの博物館です。
Koreastraße 1, 20457 Hamburg
www.imm-hamburg.de
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?