今年1月、ハノーファーで初めて、日本人によるラーメン屋「新(しん)」がオープンしました。ハノーファーはニーダーザクセン州の州都ですが、これまで日本のラーメンとは程遠いラーメン店しかありませんでした。それらのお店はそこそこ混んではいますが、残念ながら物足りないことも。そのため、このたびオープンした待望のラーメン屋に、多くの人が喜んでいます。
駅前通りを東に5分くらい行ったところに、ラーメン店「新」はあります。食材に非常にこだわっており、日本から持ってきた製麺機を使って一から麺を手作り。出来立ての麺はコシがあり、ほかでは味わえない食感です。出汁やチャーシュー、ゆで卵も全て自家製で、試行錯誤の末、現在の味に落ち着いたそう。
本格ラーメン3種
メニューは醤油、塩、味噌の3種類のラーメンをはじめ、つけ麺もあります。また、近いうちに担々麺も登場予定です。イスラム教徒やユダヤ教徒に配慮して、豚肉は一切不使用。鶏ベースの出汁に加え、チャーシューも鶏肉です。ベジタリアンにはベジ味噌ラーメンがおすすめで、昆布と野菜の出汁に味噌を加え、モヤシや刻みシイタケが載っています。つけ麺は、持ち帰りも可能です。
お昼に来てぱっと食べて帰る、といういわゆる典型的な日本のラーメン店を想定しているため、食事メニューはラーメンだけ。おつまみのような軽食やお酒は置いていません。ラーメンの量は、ドイツ基準からすると少なめですが、胃がもたれないようにするための配慮。これも勤め人がさっと来て食べ、午後から再び仕事に励めるようにとのことです。一方、あずきアイスや抹茶シフォンケーキなどの手作りデザートはあり、茶葉を挽いて入れた緑茶も人気です。
石川和男さん(右)と息子の兼想さん(左)
おいしいラーメンを作るのはもちろんですが、それを何百食と同じ味で提供するのは並大抵のことではありません。オーナーの石川和男さんにお話を聞くと、「おいしいラーメンを全国展開して、フランチャイズ化したい。そのためアルバイトの人でも自分で作れるよう、マニュアル化を進めている」とのこと。さらに、石川さんは「ラーメン文化を広げるのが僕の務め。ラーメンが、ドイツでソーセージとケバブに次ぐ、第三の国民食となってほしい」と、大いなる夢に向かって邁進中です。
現在は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、つけ麺のお持ち帰りのみ可能。営業時間も短縮していますので、注文の際は事前にメール( このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください )での予約が必要です。詳細はホームページかFacebookのサイトをご確認ください。こんな時こそ、おいしいラーメンが家でも食べられるのはうれしいですね。
ラーメン屋「新」:www.shin-foods.com
www.facebook.com/shinfoods
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳・翻訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』、『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』、共著に『お手本の国」のウソ』(新潮新書)、『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)など。