ジャパンダイジェスト

今だからこそ感じるコミュニティーの重要さ

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ライプツィヒのあるザクセン州でも3月23日から外出制限令が出されました。また、ドイツや欧州連合(EU)への入国制限措置により、日本からドイツに入国できなかった友人も。逆に、交換留学生たちは学期の途中にもかかわらず、留学を切り上げて帰国しなければならなくなりました。

ライプツィヒの街中では、さまざまな方法で新型コロナウイルスに対する注意が呼びかけられています。感染が心配され始めた3月上旬から、社会的立場の弱い人たちのために市民が自発的に活動を始めました。

街中で見つけた張り紙街中で見つけた張り紙

近所に住んでいる高齢者や障がい者、感染リスクの高い人の買い物代行をはじめ、アパートに張り紙をして、住民同士で助け合おうと呼びかける人も。移民の住む割合の多い地域では、ドイツ語、英語、アラビア語など多言語で表記された張り紙が見受けられます。

ホームレスや貧困者のために、食品や衛生用品などを詰めた袋をフェンスに吊るす「ギフトフェンス」も設置されました。このギフトフェンスはスーパーの隣にあることが多く、買い物帰りの人がフェンスに袋を吊るす姿をよく見ます。

ギフトフェンスには多くの食料品や衛生用品がギフトフェンスには多くの食料品や衛生用品が

また、閉まっている劇場の窓やバーの扉には、新型コロナウイルスの情報や「みんなで助け合いましょう」というメッセージが貼られています。カフェなどの飲食店の中には、休業前にトイレットペーパーや卵、牛乳などを投げ銭方式で市民に提供したところも。これらの活動はソーシャルネットワーク(SNS)を通して賛同者を増やし、ライプツィヒでどんどん拡大しています。市民が自発的に考え、一人ひとりが自分のできることを行う。その行動力やスピード感に、とても感銘を受けました。

劇場に書かれたメッセージ劇場に書かれたメッセージ

私個人としても、在宅勤務になったルームメイトとゆっくり話をしたり、一緒にお互いの母国料理を作って食べたり。また、タンデムパートナー(2人1組になって、お互いの母国語を教え合う)とスカイプをしながらドイツ語の勉強したり、のんびり散歩をするなど、普段の生活では後回しにしがちだったことに時間を使うことができています。

このような状態がいつまで続くか分かりません。でも、今回の新型コロナウイルスの拡大や外出制限を通して、身近なコミュニティーのつながりの大切さと地域単位でのコミュニケーションの温かさを改めて実感しています。

小見山 郁子(こみやま いくこ)
岡山県出身。コミュニティースペースやまちづくりに興味を持ち、NPOで活動しながら診療放射線技師として8年間病院勤務。ひょんなご縁で2018年に渡独し、ライプツィヒにある「日本の家」で活動を開始。2020年から日本食を中心としたコレクティブとして活動中。
 
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