私はライプツィヒで出会った友人たちと3人で、日本食を中心としたコレクティブとして起業すべく、1年半ほど前から準備していました。今回は、そこからお弁当屋さん「ponpoco」を開店するに至るまでの道のりを紹介します。
メインとおかず3品の週替わり弁当
まずは、個人事業主としてのビザ申請に必要な書類集めや、ビジネスプランの作成。友人たちの多大なる協力のもと、何とか完成に至りました。そして資金は自分たちの貯金や親族の援助を受け、残すは実際にビジネスを行うための物件の賃貸契約書だけに。ところが物件探しを始めて約半年、内見や申し込みをするものの、なかなか契約を結ぶまではいきません。自分たちが外国人であるということを思い知らされることが多く、それならいっそ「婚活をしてドイツ人と結婚した方が早い?」という冗談が出るほど難航しました(笑)。
そんな時、あるドイツ人の友人から「知人のビアガーデンで、週末の3日間ラーメンを作らないか?」と声をかけてもらい、イベントを開催。このイベントは大盛況に終わり、3日間で約300食のラーメンをお客さんに食べてもらいました。その後このレストランで2カ月間、ひとまずバイトとしてキッチンを担当させてもらうことに。そこでオーナーに認められ、晴れて賃貸契約書を書いてもらえることになったのです。これでビザの申請に必要な書類は全部揃った! と喜んだのも束の間、コロナ禍であることや自分たちの飲食業での経験の少なさもあり、商工会議所はこの時期に飲食業を開業することに否定的。自営業ビザの取得が困難になりました。途方に暮れていた矢先、見かねたオーナーが、私たちを社員として雇ってくれたのです。
ガーデンでの私たち
最初に自分たちが想像していた形とは違いますが、晴れてビザが下り、ビアガーデン内でお弁当屋さんとして営業を始めました。現在はロックダウンにより、持ち帰りのみです。「ponpoco」という名前は、私たちの料理を食べた人がお腹いっぱいになって、「ぽんぽこ」とお腹を叩くタヌキのようになったらいいなぁ、という思いで付けました。タヌキは欧州には生息していないらしいので、ドイツで説明するのは少し難しいですが、私たちのアイコンとしてお客さんからもかわいがられています。
オーナーのアンディはとても優しく、私たちのやりたい! という気持ちをいつも応援してくれています。アンディは唐揚げのとりこで、この手厚いサポートは、彼の胃袋を唐揚げで掴んだからではないかな、なんて思ったり。それはさておき、人とのコミュニケーションにおいて、食べ物は重要な役割の一つだなぁと改めて感じています。
オーナーのアンディ
ロックダウンが明けたら、広いガーデンを使ってイベントやワークショップも開催したいと考えています。ライプツィヒに来る際は、ぜひ遊びに来てください。
Instagram:@ponpoco.poco
岡山県出身。コミュニティースペースやまちづくりに興味を持ち、NPOで活動しながら診療放射線技師として8年間病院勤務。ひょんなご縁で2018年に渡独し、ライプツィヒにある「日本の家」で活動を開始。2020年から日本食を中心としたコレクティブとして活動中。