ジャパンダイジェスト

年代を超えて愛される カフェ・ルクス

ライプツィヒの東、アンガークロッテンドルフにある「カフェ・ルクス」(Café Lux)。「この地域には、高齢者が集まれる場所が多くありませんでした」。そう語るのは、このカフェの立ち上げメンバーの一人であるニナ。「若者や家族のために、多くの催しが行われている一方、シニア層は少し疎外されがち。一人暮らしで、スーパーマーケットに行く以外、他人との接触がほとんどない人が多く、それを変えたかったのです」と彼女は続けます。ドイツでは一般的に、さまざまな世代の人が一緒に何かをするプロジェクトのことを「世代間プロジェクト」(Generationsprojekt)といいますが、カフェ・ルクスもその一つとして誕生しました。

壁にはライプツィヒ在住アーティストの作品も壁にはライプツィヒ在住アーティストの作品も

彼らのカフェは、年配の方や足の不自由な方が訪れやすいように、明るく親しみやすい室内デザイン、そしてバリアフリー化を重視して設計されています。

内装なども業者にはあまり頼らず、自分たちの力でつくり上げたそうです。また、シニア層が何を求めているのかを把握するために、事前に近くの老人ホームでアンケート調査を実施。例えば音楽や料理の好み、それから「メニューに英語の単語がたくさんあると分かりにくい」など、自分たちだけでは気付くことのできなかった発見があったといいます。カフェの名前「ルクス」も、短くて発音しやすく、覚えやすいという発想から生まれました。

バリアフリーを意識した明るく広い店内バリアフリーを意識した明るく広い店内

また料理に使われる食材の生産地や旬も大切にしています。野菜や果物はライプツィヒ郊外の有機農家から、カフェで提供されるパンはすぐ近所のパン屋から調達しているそうです。また、料理の大半はヴィーガン対応。「特にケーキは動物性食品を使わずに焼き上げています。伝統的なレシピをヴィーガン仕様に変えていて、ゆくゆくはそれが普通になればいいなと思っています」と彼らは語ります。

カフェが開店したのはパンデミックの真っただ中のこと。お店の場所を見つけることや、飲食店のため金銭面での補助を得ることが大変だったそうです。それでもオープンから約半年経った今、多くの人でにぎわっています。店内では展覧会が開かれたり、週末にはコンサートやビンゴ大会が行われたりすることも。また土曜日はバーもオープンしていて、地域の人の憩いの場になっています。

週末にはコンサートも週末にはコンサートも

彼らが大切にしている考えの一つに「キーツ」(Kiez)があります。これは、地域のまとまりのことを指すドイツ語で、いわゆる行政上の区域というよりも、社会的な関係から生まれる人々のつながりをより重視した言葉です。「カフェ・ルクスがこのキーツに住む人々にとって、年齢に関係なく多くの人々が立ち寄れるコミュニケーションの場になってくれたらうれしい」と語るニナ。夏に向けてさまざまなイベントが予定されており、これからが楽しみです!

カフェ・ルクスのインスタグラム:@luxleipzig

福田 真子(ふくだ まこ)
東京都出身。日本で陶芸を勉強した後、2019年からライプツィヒ在住。現在はライプツィヒの大学で博物館学を勉強しながら、ウェブマガジン「ヴァルナブルな人たち」を運営している。
https://vvulnerablepeoplee.wixsite.com/website/magazine
 
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