ジャパンダイジェスト

アンティークが並ぶ 新しい憩いの場「Trödel-Eck」

アンティークのサングラス、さまざまな形の燭台、新しい自転車の鍵、古びたクッキーの缶、色とりどりの洋服……。そんな魅力的なものに溢れたお店の真ん中の机で、ラジオを聴きながら店番しているのが「Trödel-Eck」オーナーの一人、ウドさんです。彼はもう、かれこれ45年も古物商として、主に週末に開催されるのみの市にお店を出しています。

そんなウドさんは今年の4月、パートナーのカトリンさんと共にこのお店をオープンしました。カトリンさんはベルリン在住で、ウドさんは店番がある時にはブランデンブルクの自宅からライプツィヒまで通っています。またブランデンブルクの家には、お店には到底入り切らない大量のアンティークが保管されているのだとか。お店は天井の高い中二階のある構造で、一階にはウドさんの商品、中二階にはカトリンさんの商品と、それぞれの階に置かれている商品が分かれているのも特徴です。

ここがウドさんの定位置ここがウドさんの定位置

このお店で印象的だったのは、自分の欲しい商品を伝えると、二人が探してくれるということ。私がお話を伺っている最中にもお客さんが来て、一人掛けのソファを探してもらえないかと頼んでいました。こんな色がいい、素材はこんな感じ、肘掛けの形はこう、などスマートフォンで写真を見せながら具体的に注文することができます。ドイツのアンティーク商品は魅力的で、値段も手頃なものが多いですが、お気に入りの一品、しかも品質の良いものを見つけるのには一苦労。こうして希望にピッタリの商品を見つけてくれるこのサービスは、うれしいものです。店内には「reserviert」(売約済み)と書かれた商品だけが並ぶ棚があり、注文した商品を後から取りに来られるようになっています。

ウドさんがお店を開ける日は、決まってお店の前に小さなテーブルと椅子を出して朝食を取るそう。「朝の時間、通勤・通学のために自転車で前を通る人たちが、お店に興味を持って夕方頃に訪ねに来ることもよくあるよ」とウドさん。このお店ができた地区には、もともとアンティークショップが無かったため、近隣住民も喜んで通ってくれているといいます。ふらりと常連さんが訪れて、店先でお茶をするなんてことも。

注文したものが並ぶ棚注文したものが並ぶ棚

「お店にあるのは、必ずしも生活に必要ないかもしれないけれど、人生をより楽しくするもの。お客さんには、お気に入りのものをうちの店で見つけてほしい」と語るウドさん。いずれはアンティークショップの中で、お茶を飲んだり、ケーキを食べたりとカフェができるような空間にしたいそうです。ライプツィヒには、さまざまな形の地域の憩いの場がありますが、ウドさんたちのお店がまたライプツィヒに新たな魅力をもたらしてくれることでしょう。

Trödel-Eckのテレグラムのグループ:https://t.me/TroedelEckLeipzig

福田 真子(ふくだ まこ)
東京都出身。日本で陶芸を勉強した後、2019年からライプツィヒ在住。現在はライプツィヒの大学で博物館学を勉強しながら、ウェブマガジン「ヴァルナブルな人たち」を運営している。
https://vvulnerablepeoplee.wixsite.com/website/magazine
 
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