私はこれまでに、南ドイツのシュヴァルツヴァルト、ベルリン、ライプツィヒに住んできました。今ではほかの地域でも事情が変わっているかもしれませんが、特にライプツィヒでは「Zu Verschenken」(あげます)と書かれた箱が通りに置かれているのをよく見かけます。箱の中には元の持ち主が使わなくなったものが入っていて、通行人は欲しいものを自由に持って行くことができます。
不用品の交換棚
箱の中身は、お皿や本、洋服、靴など多種多様。大きめの家具などは「Zu Verschenken」と紙が貼られて、直接通りに置いてあります。ほかにもカルチャーセンターやオーガニックショップなど、人の集まるところに不用品を交換するための棚が設置されていることも。
元の持ち主にとっては不用品でも、ほかの人にとってはお宝である場合も少なくありません。私も散歩しつつ宝探しをするのが楽しみです。これまでに拾ったもので面白いものといえば、デザインショップで売られているようなおしゃれなクリスマスツリーでしょうか。最近では東ドイツ時代のものとみられる耐熱容器のガラス皿を拾って、パン作りに活用しています。近所のカルチャーセンターの交換棚では、台所の果物を入れるのにぴったりの籠を見つけて愛用しています。
最近拾った宝ものたち
もらってくるのと合わせて、自宅の不用品もこのシステムで手放しています。子どもが大きくなって着られなくなった靴や洋服、読み終わった本など、思いの外家には物が溜まっていくものです。不用品を売るのも一つの手かもしれませんが、ストリートで手放すと手間がかかりません。これまでいいものをもらった恩返しをして、地域の物の循環に貢献しているような気分にもなります。「果たしてこれが必要な人はいるのだろうか……」というようなものでも持っていってくれる人がいると、誰かの役に立ったのだなとうれしく感じます。友人のなかには、「その服かわいいね」というと「今日来ているものは全部拾ったものなんですよ!」なんていう強者も。
初夏を迎えて、ますます散歩が楽しい季節になってきました。宝ものを探して近所を散歩したり、家の中で使っていないものをストリートで手放したりしてみてはいかがでしょうか。
IT系の翻訳者・プログラマー。オーストリア、インドを経てドイツへ。ライプツィヒには2016年より在住。三度の食事と、手に入らない食材を自分で育てるのが何よりの楽しみ。古巣のアート分野に戻りつつある。