ジャパンダイジェスト

緑のネットワーク「パークボーゲン東」

ライプツィヒ市内には、クララ公園やローゼンタール公園をはじめ、豊かな自然が溢れています。さらに、平面としての緑地のみならず、市内東部では「パークボーゲン東(Parkbogen OST)」という緑を弓状に繋ぐプロジェクトが進められています。これは公園のほか、集合住宅地の中庭や小菜園(Kleingarten)、鉄道の廃線跡を緑化した空間、河川敷の遊歩道などを繋ぐ緑のルートで、散歩やサイクリングが楽しめるように計画されています。プロジェクトの目的は、都市農園や自然農法、子どもたちのための自然教育などで、約5kmにおよぶルートには、テーマに即したいくつかのポイントの設置が構想されています。

廃墟となっている産業歴史建造物
廃墟となっている産業歴史建造物

工業が盛んだった19~20世紀、ライプツィヒには紡績工場をはじめとする煉瓦作りの産業建造物が多く存在していました。しかしながら、1989年に東西を隔てていたベルリンの壁が崩壊したことをきっかけに、西側との競争に敗れ、当地の産業は著しく衰退していきました。それによって放置された建物は現在、歴史的建造物に指定されて保存の対象となり、廃墟として市内のあちこちに残っています。「パークボーゲン東」のルート内にも、そのような歴史的価値のある廃墟が点在しており、その活用方法が大きな課題となっています。

工場として使われていた建物は、用途変更が容易でなく、その規模も住宅やオフィスとして使用するには大き過ぎるため、なかなか次の使い手が見付からないという状況が続いているのです。さらに、20年以上も放置されていたために建物の劣化も著しく、改修には多額の投資が必要となります。市の行政としては、民間の開発業者が商業目的で使用することを意図しておらず、「パークボーゲン東」のプロジェクトチームとしても、一般市民が利用できる施設として再生されることを望んでいます。

「パークボーゲン東」マップ
「パークボーゲン東」マップ

プロジェクトの設立から8年間を掛けて少しずつ練られた案は、2012年に鉄道路線変更による鉄道の廃線跡の緑化計画を機に現実性を帯びてきました。プロジェクトは、行政と市民活動家らが共同で進めており、月1回の定例会議で進捗状況の確認や課題点の洗い出しが行われています。これまでにもプロジェクトの認知度を高めるツアーや情報誌での広報活動などを行ってきましたが、今年7月5、6日には大規模なイベントを予定。サイクリングツアーやコンサートなど、市民と一緒に盛り上がるプログラムが企画されています。

http://parkbogen-ost.org
http://www.garten-leipzig.net/stiftung/2012_Veranstaltungen_Parkbogen_Ost.asp
ミンクス 典子
福岡県生まれ。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の建築設計事務所に所属し、10年に「ミンクス.アーキテクツ」の活動を開始。11年よりライプツィヒ「日本の家」の共同代表。
www.djh-leipzig.de
 
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