バイエルン州はドイツ国内で1番目に新型コロナウイルスの感染確認者数が多く、外出制限と接触制限が敷かれています(4月1日現在)。1月末ごろにミュンヘン近郊企業の社員から陽性反応が確認されたかと思うと、ファッシング後には、休暇を北イタリアなどで過ごした人たちの陽性確認が一気に増加。職場や学校などに落ち着かない気分が広がり、人々は順次ホームオフィスへ移行していきました。
3月16日には休校が発表され、あっという間に状況が変化しました。スポーツジムや映画館などの余暇関連施設は全て閉鎖され、病院や介護施設の訪問は原則禁止。私の暮らすミュンヘン郊外の小さな街でも「ハムスター買い(買いだめ)」 の跡が見られ、トイレットペーパーが品切れに。ドイツでも買いだめは起こるんだ、と妙に感心(?)してしまいました。幸いそれは数日で解消されましたが、店頭での石けんや消毒液の品薄状態は続いています。これは、より必要とされる場所に優先的に届けられているからかもしれません。
子どもたちの遊び場も閉鎖された
オーストリアなどとの国境管理が強化されるなか、メルケル首相はテレビ演説でドイツに住む人々の理解と連帯を呼びかけ……にもかかわらず一部の人は春の陽気に誘われて、公園やイザール河畔に集ってしまいました。その様子に危機感が募ったのでしょうか、バイエルン州では3月21日から外出制限と違反者への罰則が導入されることに。私の住む地域はもともと静かなところですが、人通り、特に朝夕の通勤者が激減。最近は、1人ないし2人でのジョギングやサイクリング、散歩に出かける人くらいしか見かけません。
私自身は家で過ごすことが多くなったので、快適に暮らすための掃除や片付け、庭仕事や趣味に充てる時間が増えました。これは思いがけない良い影響かもしれませんね。
それでも季節は巡り、春の花に癒される
なお、接触制限下でも高齢者などのハイリスク・グループのためのサポート活動は認められています。地域の掲示板や登録制のご近所プラットフォームでは、自発的に買い物や薬の受け取り代行などを申し出る人が多く、ドイツの良い面が強く現れていると感じました。また、地域サポートの例としては、アウグスブルクで閉店中の飲食店や個人商店の商品券を購入できる「Rettet Deinen Lieblingsladen」というポータルもあります。全国区では「ドイツ赤十字(DeutschesRotes Kreuz)」や社会的弱者への食事や食材を提供している「Die Tafeln」への寄付、そして近隣サポート関連情報はフォーカス誌の「Corona Care」などで見ることができます。
さて、2012年からお届けしてきた私の地域レポートは、今回が最後になりました。最終回でこのような状況について書くとは予想外ではありましたが、今まで読んでいただいたことにお礼を申し上げます。ありがとうございました!
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。