「ハンザ都市の女王」と呼ばれるリューベックは、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州の美しい街。1143年にバルト海沿岸初の「都市」として誕生以来、レンガ造りの建物と中世特有の街並みの区画構造が、現在も変わらず残されています。1987年には、その旧市街が世界遺産登録されました。今回は、そんな美しいリューベックを散策してきました。
街のシンボル、ホルステン門!
ハンブルク中央駅からは、小1時間ほどでリューベック駅に到着します。駅を出て旧市街に向かって歩くと、堂々と構えている街のシンボル「ホルステン門」が見えてきます。1478年、敵の攻撃から守るために建てられた、見るからに頑丈そうな建物で、見張り番の兵が今にも出てきそうです。門をくぐると橋があり、その右側に、これまた重厚なレンガ造りの「塩の倉庫群」が並んでいます。かつて、ここにリューネブルクから運ばれてきた塩が貯蔵されていたのです。トラヴェ川の美しい景色を眺めながら橋を渡ると、いくつもの高い塔が見える旧市街に入ります。
マルクト広場に出ると、まず圧倒される建物が市庁舎です。リューベック特有の黒色のレンガの壁に、いくつも開けられている大きな穴が特徴的です。これは、バルト海からの強風を避けるための「風穴」なのだそうです(確かに北ドイツは風が強いのです!)。
トラヴェ川のほとりに並ぶ塩の倉庫群
リューベックには五つの教会があり、全部で七つの塔が街のあちこちに見られます。市庁舎の隣にある1265~1351年にかけて建てられた「聖マリエン教会」は、二つの塔を持つ巨大なゴシック様式の教会です。後にこの教会を手本として、バルト海近辺に70余りの教会が建てられたので、「北ドイツ大聖堂の母」と呼ばれています。17世紀の北ドイツの代表的な作曲家・オルガニストであるブクステフーデは、約40年間、この教会のオルガニストとして職務を全うし、同教会に葬られました。当時、バッハが彼の演奏を聴きにこの地を訪れたといわれています。
ノーベル文学賞を受賞したトーマス・マンは、リューベック出身。小説『ブッデンブローク家の人々』の舞台となったブッデンブロークハウスは、現在では彼の作品の資料館になっています。『ブリキの太鼓』などで有名な同じくノーベル文学賞作家でリューベック出身のギュンター・グラスの記念館も近くにあります。
マジパンでくるまれたバウムクーヘン
そしてリューベック名物といえば、マジパンです!リューベックには、マジパン菓子専門店「ニーダーエッガー」の本店があり、ここにしかない珍しいマジパン菓子も。マジパントルテなどのケーキも有名です。ほかの店のマジパンとの違いは、原料のア-モンドの量でしょう。この店のものは約50~70%がアーモンドで、砂糖は少なめ。だから甘いものが苦手な人にも人気です。早速カフェでコーヒーとケーキを注文。うっすらとケーキを覆うマジパンは、上品な老舗の味わいです。石畳を歩き疲れた体に沁みました!
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。