今秋、ミュンヘンのSバーンやUバーンの駅のホームや構内に、「席をいつもきれいにしてくれてありがとう」とか、「ちゃんと並んで待ってくれてありがとう」など、ちょっと変わったポスターがお目見えしました。私はおもしろい宣伝だなあと興味深く観察していたのですが、友人知人の中にはこれらのポスターの存在を知らない人もいたので、少しオーバーかも知れないけど、ここはミュンヘン交通の新しい宣伝活動に人肌脱ぎたいと思いました。
私が愛読している地元のTZ新聞10月15日号によると、この「思いやりを持とう」キャンペーンは、ある統計結果から必然的に行うことになったようです。それは、2008年前半の他の乗客へのクレーム件数が2007年後半と比較すると12%も増加しているというものでした。
ホームの電光掲示板
ミュンヘン交通が公表したクレームトップ10によると、1位は「隣りの大音量のMP3プレイヤーの音が耳に入ってくること」、2位は「エスカレーターの左側は歩く人のために空けておくルールを守らずに、左側を占領していること」、3位は「混雑したUバーンから降りるときに、ドア際にいる人がちょっと降りてまた乗るという動作を好まないことが多いために、人ごみを押しのけて降車しなければならないこと」。他にも、「お酒くさいサッカーファン」や「ファストフードの匂い」など、「あるある」とうなずきたくなるクレームばかりですよね。
このポスターの良いところは、例えば、「電車やバスにゴミを置いて行くのはだめ!」と非難する内容になっているのではなくて、「電車やバスの中を清潔なままにしてくれてありがとう」と、正しい行いを称えるスローガンにしているところです。そして、ポスターだけでなく、ホームの電光掲示板でも、例えば、「音楽を大音量で聴かないでくれてありがとう」というテロップが流されたりしています。利用者の1人ひとりが正しいルールを知り心がけるだけで、快適な乗車時間を過ごせるのですから、モラルは大切ですよね!
ホームのポスター
大阪出身。1993年からミュンヘン在住。癒し系ドイツ人夫と、おちゃめな4歳半の娘との3人暮らし。ドイツの携帯電話ゲーム開発会社のQAマネジャー。ブログ 「中途半端でも大丈夫」を公開中。http://miamama.exblog.jp/