ジャパンダイジェスト

「Open Westend」アートで変える街のイメージ

やっと気温が上がって雪の下で待っていた花々が一斉に芽吹き始め、戸外で過ごすのが気持ち良いと思えるようになった3月下旬の週末、ミュンヘンのヴェストエンドと呼ばれる地区で、アート・イベント「Open Westend」が開かれました。

ヴェストエンドは近代的な建物が次々に建てられている一方で、既存の古い建物の手入れはあまりされていない地区です。新旧の建物の調和もアンバランスで、街並みは決して美しいとは言えませんが、比較的家賃が安く、収入があまり安定していない芸術家たちには住みやすいのでしょう。ここに集まってくる芸術家たちは、数年前から「ヴェストエンドをシュヴァービングのような芸術家の街にしよう」と活動しています。いにしえの「ミュンヘン新芸術家協会」を思い、新しい動きを試みているのかもしれません。

「ミュンヘン新芸術家協会」とは、1909年にミュンヘンを本拠地として設立された表現主義の芸術家サークルのことです。初代理事を務めたのは、かのワシリー・カンディンスキー。当時、シュヴァービング地区には多くの芸術家が住み、「ミュンヘン新芸術家協会」の母体も、ここに住んでいたロシア人女流芸術家の下にあったため、今日でもシュヴァービングは芸術家の街として知られています。

写真家のアンドレアさんと、彼女が作った活動紹介用の展示物
写真家のアンドレアさんと、彼女が作った活動紹介用の展示物

さて、今回訪れたイベント「Open Westend」ですが、パンフレットを頼りに、この地区に点在する芸術家たちのアトリエを巡ります。この日のために開放された工房では、絵画、陶芸、彫金、写真など、さまざまな分野で個性的な作品が紹介されていました。たとえば、アンドレアさんの写真館で見たのはすべて一般のお客さんを撮った写真でしたが、どの写真もその人の魅力に満ちた、いきいきとしたものでした。履歴書用の写真から家族の記念写真まで、ここでは彼女が顧客とイメージを話し合った上で撮影し、メイクも施してくれるとのことです(www.eye-di.de)。また、クリスティーネさんが作るフェルトのバッグや服、春らしい花をモチーフにしたアクセサリーはどれもかわいらしく、値段もお手頃でした。彼女はフェルト小物やアクセサリー製作の講座も開いています(www.muenchnerfilz.de)。

通りを歩いているだけでは見過ごしてしまいそうな小さなアトリエをこうして1件1件訪ねてみると、確かにここミュンヘンが「芸術家の町」に思えてきます。「下町」感が強いヴェストエンドですが、いつかシュヴァービングとは違った魅力を得て、市民に親しまれる芸術の詰まった、新しい世代の芸術の街になってほしいと願ったのでした。

点在するアトリエを巡るグループツアー
点在するアトリエを巡るグループツアー

さかいざわ はる
2004年よりミュンヘン在住。主婦の傍ら、副業でWEBデザイナー。法律家の夫と2人暮らし。クラブ通い、ゴルフが趣味のおばさん。
 
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