スイッチが入ったように真夏の陽気になった7月のミュンヘン。市内各地で、様々な夏恒例のイベントが開催されました。
7月18日に英国庭園で行われた第15回Japanfest(日本祭り)もその1つです。今回は、ヨーロッパ・ツアーを控えた日本の和太鼓グループ「YAMATO」による力強い演奏が、多くの来場者を魅了していました。来場者の中には浴衣を着たドイツ人女性もちらほら見かけたのですが、その着方は実に多様。また、近年新たに日本文化として定着した、漫画の登場人物を模した「コスプレ」を楽しむ若者の姿も目立っていました。そして彼らの姿を見ながら、その前日に偶然街で見かけた「クリストファー・ストリート・デイ」のパレードのことを考えていました。
今回で30回目を迎えたミュンヘンの
「クリストファー・ストリート・デイ」
「Christopher Street Day(クリストファー・ストリート・デイ)」は、1969年に米国ニューヨーク市の同名の通りで起こった、警察による同性愛者弾圧への抗議運動から始まったものです。本来は同性愛者、性的マイノリティーの解放を求める市民によるデモ行進でしたが、今日ではその他様々な政治的な見解を示す機会として世界各地で行われるようになりました。ミュンヘンでの開催は、今年で30回目になります。
17日の午後にマリーエン広場から出発したパレードでは、エイズへの理解、反暴力、環境保護を訴えるものから、お店の宣伝用のものまで約50台の山車が参列し、3万人の来場者が見守る中、旧市街を行進していきました。
見る側の嗜好にもよるのでしょうが、鍛え上げられた半裸の男性(女性?)の彫刻のような肉体には目を奪われてしまいます。これだけグロテスクで美しいものが街の真ん中を行き交う日も、なかなかないでしょう。また、それとは逆に驚かされたのは、ローマ教皇の肖像を用い、カトリックの思想に反対する山車“PAPAMOBIL”でした。これは毎年登場するらしいのですが、悪趣味な化粧を施され、コンドームの指輪をはめさせられた教皇の姿は、色とりどりのパレードの山車の中でもひと際異彩を放っていました。
ミュンヘンに来て、私自身も生活の中で、日本にいた頃より多くの同性愛者と関わるようになってきました。友達になった人、同僚、隣人、彼らの家族……。気付けば、それぞれ大切な人たちになっていました。彼らとの良い関係により、同性愛者への認識も変化してきたのは確かです。何を好み、誰を愛するかを決める自由が、私たちにはあるのだと思います。
このようなことを公の場で行なって大丈夫なのでしょうか……?
2004年よりミュンヘン在住。主婦の傍ら、副業でWEBデザイナー。法律家の夫と2人暮らし。クラブ通い、ゴルフが趣味のおばさん。