季節柄、ミュンヘンの話題は何かと「オクトーバーフェスト」に片寄りがちですが、今回はちょっと変わった場所にある美術館をご紹介します。
地下鉄U2のKönigsplatz駅の中階層を利用して造られた「クンストバウ(Kunstbau)」は、地下鉄を下りたその足で芸術が楽しめてしまうという、便利な場所にある美術館です。ここは、駅から地上に出てすぐのレンバッハハウス美術館 (Stätische Galerie im Lenbachhaus)に属する、特設展示専用の美術館となっています。地下鉄工事の際、建築上何らかの理由でできてしまった110×14メートルの空間。「ここを何かに使えるのでは?」と知恵を絞った結果、ミュンヘン市は1994年から芸術作品の展示に利用しはじめました。
レンバッハハウス美術館は、山吹色の美しい外観と青騎士(Der Blaue Reiter)のコレクションで有名ですが、2012年の夏まで改修工事のため閉鎖中。そこで、同美術館のコレクションの一部がこの夏、クンストバウにて公開されることになったのです。青騎士とは、1911年にミュンヘン新芸術家協会から、ヴァシリー・カンディンスキーやフランツ・マルク、ガブリエーレ・ミュンターらの画家が独立して立ち上げた芸術家グループのこと。その名は彼らが好んだ色と度々描いていた動物の馬からイメージして付けられたそうです。特にフランツ・マルクの描く動物は、観ているとその体温や柔らかさが伝わってくるような独特の雰囲気を持っています。青騎士自体は短期間しか存続しなかったにもかかわらず、今日までその名は語り継がれ、彼らが残した作品は多くの人々に愛され続けています。
下に地下鉄の線路が走る美術館「クンストバウ」
ここで、日本の読者の方に耳よりな情報です。青騎士の作品が、11月23日(火)から来年2月6日(日)まで、東京の三菱一号館美術館にて『カンディンスキーと青騎士展』と題し、日本で初めて公開されます。ミュンヘンで生まれた芸術に触れられる絶好のチャンスだと思いますので、お近くの方は立ち寄られてみてはいかがでしょうか(http://mimt.jp/aokishi)。
さて、Königsplatz駅の地上に出ると、ギリシャ神殿風の建物を中心に、レンバッハハウス美術館や古代美術博物館(Antikensammulugen)、古代彫刻美術館(Glyptothek)などが建ち並ぶミュンヘンの一大観光スポットが広がります。天気の良い日中には、ここで日光浴をする人の姿も美しい景観の一部となっています。都会の喧騒に疲れたら、ここでひと休みをするのも良いかもしれません。
古代彫刻美術館の前での日光浴。
やってみると、なかなか気分が良いもの
2004年よりミュンヘン在住。主婦の傍ら、副業でWEBデザイナー。法律家の夫と2人暮らし。クラブ通い、ゴルフが趣味のおばさん。