バイエルン州の東端、チェコとの国境にある「バイエルンの森(Bayerischer Wald)」は、1970年設立の、ドイツで最初の国立公園です。チェコ側に隣接する「ボヘミアの森」国立公園と合わせると、中欧で最大規模の森林保護地域となっています。「自然のままに」を基本理念とし、2027年までに総面積の75%を、人の手を加えるのではなく、自由な自然の状態に委ねることを目指しています。
この地域は、標高差が600m~1453mと大きく、ワシミミズクやフクロウ、エゾライチョウなどの多種多様な鳥類や動物たちにとって理想的な生育環境です。また、全長300km以上のハイキングロードや、200kmにおよぶサイクリングロードなどを利用することで、四季の自然を身近に、かつ気軽に感じることができます。
ガラスショップは、外観も華やか
この美しい森に囲まれた地域には、近年、多くのウェルネスホテルが建設されています。1泊2食~3食が含まれたパッケージで、滞在期間中、併設のサウナや温水プールが使用可能です。別料金でマッサージなどもオーダーできるホテルが多いので、日頃の喧騒を忘れてリラックスすることもできます。
そんな静かな国境の森の地域ですが、様々な産業がこの地方の豊さを支えています。チェコとオーストリア両国の国境に近く、古くは「白い金」とも呼ばれた塩を運ぶルートとして発展。前述の観光業や農林業のほか、繊維関係、産業用発砲スチロールの世界的メーカーや、自動車部品メーカーなど、技術的な産業も盛んです。ミュンヘンやプラハなどの各大都市からほぼ同距離(約200Km)で離れているためか、「バイエルンの森」地方の気質は自立的、かつ、「良いサービスを、適正価格で提供」がモットー。ホテルもお店も、スタッフがフレンドリーでとても温かい雰囲気でした。
そして、伝統的な産業の一つにガラス工芸品があります。フラウエナウ(Frauenau)という町を中心に、400年の歴史がある工芸技術ですが、大きく発展したのは戦後なのだとか。地元の有名メーカーには機械化を図って成功している会社もありますが、一方で伝統的な宙吹き製法でのハンドメイドのガラス製品を提供しているアトリエもあります。モダンかつエレガントなデザインで、お値段もリーズナブル。絵付けもハンドメイドで、作家によって図案も様々ですので、お気に入りの一点ものを探し出す楽しみがあります。
ハンドメイドのガラス製品が購入できる
フラウエナウには、「フラウエナウ・ガラス美術館(Glasmuseum Frauenau)」があり、ガラスのオブジェを配した庭園が周囲を取り巻いています。ガラス芸術品を展示販売するアトリエギャラリーや、アウトレットショップもあり、メーカーの工場ツアーで製造工程を見学することも可能です。小さな町にガラスにまつわるたくさんの施設が集まっているので、ガラス好きな方は是非一度訪れてみてください。