ジャパンダイジェスト

デザイン見本市「ブリックファング」

5年前から毎年3月に、私はシュトゥットガルト市内中心部のリーダーハレ(Liederhalle)で開催されるデザイン見本市「ブリックファング(Blickfang)」に行っています。この見本市はプロのデザイナーや建築家に入場が限定された専門見本市と異なり、誰でも気軽に見学できます。毎回、欧州の最新デザインが紹介され、ここ数年でドイツ最大のデザイン・イベントへと発展。デザイン好きの私にとっては欠かせないイベントとなっています。同見本市はシュトゥットガルトに加え、コペンハーゲン、ウィーン、チューリッヒ、バーゼル、ハンブルクの6都市を巡回しています。その歴史は実に長く、今年で21回目の開催を迎えました。

会場面積は約3000㎡。展示は家具、アクセサリー、ファッションの3分野に分かれています。今年も数多くの素晴らしいデザインに出会いました。ロハス(LOHAS=Lifestyle Of Health And Sustainability)という言葉を近頃よく耳にしますが、健康と持続可能性を重視するライフスタイルは近年のトレンドになっていて、デザインの世界でも取り入れられつつあります。今回の見本市では、このロハスの要素が含まれたデザインが多く見受けられました。

シュトゥットガルト
「ブリックファングが選んだ将来有望な若手家具デザイナー」のコーナー

あるデザイナーは、古いテキスタイルを切り張りして照明にしたり、逆に古い家具にモダンなカバーを貼り付けることでクールな装いにがらっと変えたりしていました。アンティークな風合いを残しつつ、現代的で洗練されたセンスを兼ね備えたデザインに仕上がっていて、古い家にも新しい家にも、良いアクセントとして機能しそうです。

また別のデザイナーは、おびただしい数の古い映画のポスターを細く裁断し、サイドテーブルを製作していました。ところどころにポスターの登場人物やキャッチコピーの一部が見えるなど、近付くほどにどんどん別の発見があり、観ていて飽きません。単なる再生紙と違って、昔の映画のストーリーがそのまま残され、色もデザインに活かされていました。また、この家具は発展途上国から原料や製品を適正価格で購入するフェアトレードを採用し、ベトナムの竹細工職人によって作られているそうです。

ほかにも、20リットル用のガソリン容器がスーツケースになっていたり、ごみ置き場から拾ってきた椅子の骨組みが、座面と背もたれを作り直すことで新しいデザインスツールになっていたりと、会場はまさにアイデアの宝庫。古いジーンズをネクタイや小さなかばんにするユニークな実演販売も行われていました。ちなみに、材料となるジーンズはお客さんが持ち込んだものです。

たくさん刺激を受けた楽しい1日となりました。早くも来年の開催が楽しみです。
www.blickfang.com

シュトゥットガルト
映画のポスターをリサイクルしたデザインテーブル

郭さん郭 映南(かく えいなん)
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。http://kakueinan.wordpress.com
 
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