ゲーテの言葉に、「どうして遠くへさすらう? 素晴らしいものがこんなに身近に(あるのに)!」というのがあります。それに倣い、天気の良い日が続いたので、シュヴァーベン地方の旧跡名所を回ってみることにしました。まず、シュトゥットガルトから車で約1時間ほど離れたホーエンツォレルン城に行ってきました。
ホーエンツォレルン城の外観
数十キロも手前から、もうお城がはっきりと見えてきました。平地に突如現れた小高い山に、お城の建造物が威風堂々とそびえ立っています。尖塔がいくつもあり、どこかドラマチックで、ディズニーランドのシンデレラ城を想起させるような佇まいです。自家用車やバスなどで9合目辺りの駐車場まで行き、駐車場からはお城へとひたすら急な坂を上りました。門をくぐった後も、道路がらせん状に上に伸びて行き、ようやく中庭に到着。するとそこは平らな展望台になっていて、周りに高い山がほとんどないため、どこまでも広がる素晴らしい景色が望めました。
展望台からの眺め
ホーエンツォレルン城はホーエンツォレルン家の居城で、欧州の三大王家の1つとされ、前身であるツォレルン家も含めると、その歴史は今日までに約1000年に上ります。このお城は、今なおドイツ最後の皇帝ヴィルヘルム2世の直系子孫が所有しており、クリスマスなどの時期になると、しばしば晩餐会などの行事が行われるそうです。
城内の一部をガイドツアーで見学しました。家系樹の間、大広間、辺境伯の間、王女の青の部屋、王冠や武器の展示室……と、どの部屋も立派で、まさに映画に出てくるような貴族の館です。そして、窓の外の風景も信じられないほど壮大で、まるで空を飛んでいるかのようでした。
この山に最初にお城ができたのは11世紀です。幾度かの所有者の交代や建て替えを経て、18世紀の半ばまで使用されていましたが、1789年にオーストリアによって占領されて以降は荒廃してしまいました。そして1819年、フリードリヒ・ヴィルヘルム4世が自分のルーツでもある荒城を訪れ、美しい夕日に感動し、再建を誓ったのです。それから半世紀の年月を経て、壮麗なホーエンツォレルン城の姿がよみがえりました。皆さんもシュトゥットガルトに滞在されたら、ぜひ訪れてみてください。
シュトゥットガルトから公共交通機関を利用して日帰りで行くことも可能(片道約2時間)。電車でテュービンゲンへ行き、そこから乗り換えてヘッヒンゲンで降り、300番バスでホーエンツォレルン城行きに乗ります。入場料5ユーロ、城内ガイドツアー付き(独英)は10ユーロ。
www.burg-hohenzollern.com