シュトゥットガルト・バレエ団の舞台は、私がまだ日本にいた頃からのあこがれでした。そして、シュトゥットガルトに住み始めてからは、シュロスガルテンに凛と佇むオペラハウスに入ることも長年の夢でした。先日ついに、この夢がダブルで一度に実現しました。
オペラハウス正面玄関
シュトゥットガルト・オペラハウスは、ほかのオペラハウスと違い、オペラだけではなく演劇やバレエも上演する総合劇場です。その歴史は17世紀に遡ります。文献によると、すでに1660年からオペラやバレエ、演劇をこの地で上演していたようです。通算すると、350年以上の歴史があります。オリジナルの建物は何度も増改築を繰り返したのち、1902年に火事で全焼してしまいました。現在のオペラハウスの前身である宮廷劇場は、1909~12年にわたって建設された2つの建屋のうちの1つで、「大きい家(Großes Haus)」というあだ名で親しまれています。第2次世界大戦中に爆撃されましたが、幸いなことに倒壊は免れました。しかし、もう片方の建屋「小さい家(Kleines Haus)」はあえなく全壊し、62年に今のSchauspiel Hausとして建て直されました。
オペラハウスの中へ一歩足を踏み入れると、まるでタイムトンネルをくぐって一昔前のドイツに来たようです。大理石の床と柱に、華やかなシャンデリア、高級感溢れる鮮やかな青いじゅうたん、案内板などの文字もレトロなフォントが使われていて、古き良き時代の空気が漂っていました。
時間が止まったままのようなノスタルジックな空間
緩やかなカーブを描く回廊に沿って進み、チケットを見せると、自分たちの席まで案内してくれました。中はとても広く、クラシックなオペラハウスの造りになっています。1400余りの座席は観客でほとんど埋まっていました。この日の上演作品は「マクミランへのオマージュ(Hommage à MacMillan)」。マクミランは英国のバレエ振付師で、1992年に亡くなりました。作品は「大地の歌」と「レクイエム」の2部から構成されています。
「大地の歌」はグスタフ·マーラーが1908年に作曲し、マクミランによって初めてバレエ作品に仕上げられたものです。この作品は65年にシュトゥットガルト·バレエ団によって初公演が行われ、記念すべき作品の1つとなっています。今日では、有名ソリストとシュトゥットガルト州立管弦楽団の伴奏によって上演されています。第2部の「レクイエム」の初公演は76年。親友であるシュトゥットガルト・バレエ団の育ての親であり、芸術監督を長く務めたジョン・クランコの死を悼む作品でした。コーラスとクラシックバレエの組み合わせが斬新で、時代を超えた美しさに圧倒されました。
www.stuttgarter-ballett.de
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com