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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

父娘が造る伝統と最先端が融合した煙のビール

世界遺産の古都バンベルクから南へ車で30分の場所にある、小さな村ハレルンドルフ。ここに若く小さい醸造所ながらビールの評価サイトRateBeerで高得点を獲得し、世界中のビアファンから「バイエルンの小さな巨人」と呼ばれるゲンスタラーがある。

村のあるバイエルン州オーバーフランケン地方一帯は良質の麦とホップが採れ、古くからビールの銘醸地として知られている。特にバンベルク近郊は、ブナの木で燻された麦芽を使用したラオホ(煙)ビールが有名だ。ゲンスタラー醸造所もその流れを汲んでいる。

醸造所は父Andreas Gänstallerと娘Danielaの2人が2011年に立ち上げた。父Andreasはバンベルクにある醸造所(Mahrs Bräu)で20年以上にわたって醸造とマーケティングに従事していた経歴を持つ。創業以来、ドイツの伝統的な手法を用いて、ニュースタイルのビールを造っている。例えば屋根裏に設けられた銅製の冷却プール(Cool Ship)。釜で煮沸した麦汁を、浅く表面積の広いプールに注いで急速に冷却するためのものだが、熱交換装置が発達した現代では稀になった旧式の設備だ。ゲンスタラー醸造所ではこの冷却プールにホップを敷き、そこに熱々の麦汁を流し込む。一般的にホップは麦汁の煮沸中に投入されるのだが、煮沸後にもさらにホップを投入するレイトホッピングと呼ばれる製法で造られている。冷却プールのどの部分にホップを置くかによって、香りに繊細な違いが出という。かすかに日が差し込む屋根裏部屋に麦汁の湯気が立ち込める様は幻想的でもある。

「Rauch Royal」は燻製された麦芽と多量のホップを使用し、ラガー製法で造るスモークドインペリアルIPLという最先端のビアスタイル。焚火のような燻製香の後から柑橘類を思わせる豊かなホップの香りが押し寄せてくる。「小さな巨人」の二つ名にも納得の一杯だ。

vol. 14
Rauch Royal

https://schneider-weisse.de

Rauch Royal

 
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