11月17日(金)~19日(日)の3日間にわたって開催された、ベルリン・ティーフェスティバル。期間中、茶とその文化にまつわるさまざまな催しが開かれるのですが、今回、クロイツベルクの聖十字架教会で行われたメインイベントに出展者として参加しました。
11月17日(金)開催のティーカンファレンス、および18日(土)のメインイベント会場となった聖十字架教会
温かな意匠のなか、茶を味わいながら談笑する人々でにぎわう幸福な空間
ドイツ国内のみならず世界各地から集まった茶葉の販売者をはじめ、陶芸や甘味など大小合わせて47組の出展者が、それぞれ趣向を凝らしたブースで来場者を出迎えます。さらにワークショップやセミナーも開催され、終日大変なにぎわいでした。入場者には、この日にしか手に入らないオリジナルの磁器製湯呑みが配布され、その湯呑みを片手に100種類以上のお茶を試飲しながら、お気に入りの茶葉を選ぶことができます。お茶を振る舞う人も、それを楽しむ人も、誰もが笑顔で喜びにあふれた素晴らしい空間でした。私は、コツコツ集めた陶磁器の割れ物を金継ぎで修繕した作品を展示販売するほか、来場者が持参した器の金継ぎ相談も受け付ける作家として出展。茶文化に精通した人々が集うイベントだけあって、金継ぎや漆についての知識を持っている方にも多くお会いしました。
たくさんの試飲が楽しめる、この日だけの湯呑み。記念品にもなるすてきなアイデアです
ベルリン・ティーフェスティバルは、ベルリン在住の茶愛好家と専門家からなる国際色豊かなチームによって運営されています。2018年に初めて開催し、コロナのため開催不可能だった苦しい2年間をくぐり抜けながら、欧州最大規模の茶文化の祭典に成長しました。英国やフランスの企業が手がける茶ではなく、ドイツ国内の小規模な業者が中国や台湾、そして日本の茶畑を訪ねて選んだ茶を扱うことに大きな意義が見出されていると感じます。歴史と技術に敬意を持ち、奥深い茶文化を楽しみながら学ぶ。茶の魅力に惹かれた人々にとって最高の機会であるようにと、気配りの行き届いた運営に感動しました。
しかしながら、相次ぐ国際紛争や深刻な気候変動に歯止めがかからない世界で、茶の栽培や物流がこの先どのような影響を受けるのか、心配する声も多いといいます。実際、コロナ禍でも2年間の休止を余儀なくされました。だからこそ人々がつながり、直接コミュニケーションを取れるこのイベントが愛され求められているのでしょう。さまざまな楽しみ方ができる茶の世界がさらに多くの人に認知され、来年もここで皆と再会できることを願っています。