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上棟式を迎えたベルリン王宮

6月13日と14日の週末、「フンボルト・フォーラム」として再建中のベルリン王宮が一般に公開され、多くの市民が訪れました。

今回の一般公開は、建物の基本構造が完成したことで前日の12日に行われた上棟式(Richtfest)に合わせたもの。14日の午後、ウンター・デン・リンデンを越えてシュロス橋のたもとまで行くと、向こう側に王宮の姿が現れました。久々に見る王宮には特徴的な円蓋もすでにかぶさっており、いよいよ全体の規模が分かるほど建設が進んでいました。

ベルリン王宮
いよいよ全貌が見えてきたベルリン王宮

行列に並んで中に入ると、17世紀初頭、王宮担当の建築家だったアンドレアス・シュリューターが設計した大きな中庭(シュリューター・ホーフ)に繋がります。そこを右に回って進むと、円蓋の真下のエントランスホールが見えてきました。ここは吹き抜けの構造で、バロック様式の壮麗な「エオザンダー門」が西口に再現される予定です。門の前には特設ステージが造られ、ビッグバンドの軽快な音楽が鳴り響いていました。

フンボルト・フォーラム
完成後は展示会場として使われる2階部分

特に興味深かったのは、2階のほぼすべての部屋が公開され、見て回れるようになっていたこと。もちろん、現時点ではどの部屋もコンクリートの基礎部分がむき出しの状態ですが、各部屋に様々な展示が施され、完成後の様子を想像できるように工夫されています。例えば、王宮内の歴史的な石膏像をどのように再現するかを紹介したり、別の部屋では2階と3階に収容される民族学博物館とアジア博物館の展示物の映像が壁に投影されたりと、家族連れの多い訪問客を楽しませていました。

それにしても、初めて中に入った王宮からの眺めの良いこと。1周する中で、博物館島、大聖堂、テレビ塔、赤の市庁舎、ニコライ教会など、ベルリン中心部の主要建築を一通り見ることができます。この王宮がベルリンの歴史的なミッテ(中心)の、さらにそのど真ん中に位置していたことを改めて実感しました。

東側の長いスペースには、テレビ塔やマリーエン教会を望む風景が1枚の絵のように収まるポイントがあります。そこに立ったとき、ちょうど10年前に、当時解体直前の共和国宮殿の中に入って見た眺めを思い出しました。あの秋の雨の日に抱いたのは、過去へのノスタルジックな感情でしたが、今回は19世紀のヴィルヘルム&アレクサンダー・フンボルト兄弟の理念を引き継ぎ、「ベルリンと世界とを繋ぐ門になる」(グリュッタース文化相)とされるフンボルト・フォーラムへの期待感でした。完成予定は2019年とのことですが、その期待は現実のものとなるでしょうか。

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし)
ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
守屋 亜衣(もりや あい)
2010年頃からドイツ各地でアーティスト活動を開始し、2017年にベルリンへ移住。ファインアート、グラフィックデザイン、陶磁器の金継ぎなど、領域を横断しながら表現を続けている。古いぬいぐるみが大好き。
www.aimoliya.com
佐藤 駿(さとう しゅん)
ドイツの大学へ進学を夢見て移住した、ベルリン在住のアラサー。サッカーとビールが好きな一児のパパです。地元岩手県奥州市を盛り上げるために活動中。
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