ジャパンダイジェスト

ザクセン州議会議事堂のオープンデー

ドイツ統一記念日の10月3日、ザクセン州議会議事堂が「オープンデー」と称して一般公開されました。普段は足を踏み入れることができない場所であるだけに、市民の関心は高く、受け入れる議事堂側も盛りだくさんのプログラムを用意してのもてなしを考えていたようです。

入り口前の広場には、州内各地の交通安全協会(Verkehrswacht)が集結し、実際の道路標識を学ぶことができる子ども用のゴーカートや、事故で車が横転するときの感覚を体験できるデモンストレーションなど、交通安全に関する数々のイベントが行われていました。また、入り口のテラスではディキシー音楽のバンド演奏や中世の衣装に身を包んだ人々による銃の打ち合い寸劇があり、賑やかに盛り上がっていました。

左側、たまたま映った素敵な老夫婦
交通安全関係のイベントがひしめく正面の入り口広場

会場のメイン・コーナーでは、ザクセン州関連の出版物や各種統計資料のパネル展示、ドレスデン近郊の町グローセンハイン(Großenhain)が特設ブースを設け、観光地としての魅力をアピールしていましたが、特に多くの人が集まって熱気を帯びていたのは各政党のブースです。政党のシンボルカラーの風船のほか、文房具やエコバッグといったグッズや軽食など、豊富に用意されていた無料サービスをお目当てに来た市民も多かったようです。もちろん、そのブースでは、政治議論も活発に行われていました。

エルベ川に面した、吹き抜けでガラス張りの本会議場は円形劇場のような形をしていて、ステージとして理想的な構造であるため、ダンスやジャズ演奏などのプログラムが目白押し。議長席から大臣クラスの席、議員席、傍聴席まで、すべてが観客席として使用され、この機会にしか座れない席で音楽やダンスを楽しむというのも、なかなかオツなものでした。

会議場の真ん中で踊るバレリーナ達
州議会本会議場でバレエを発表する少女たち

外へ出ると、水盤のような美しい池に引き寄せられました。ここは、旧館と新館の真ん中にある静寂な中庭です。これほど贅沢な中庭が、職員たちの憩いの場になっているわけですが、新館を旧館と一体化させる形で設計したのは、ドレスデン出身の建築家ペーター・クルカ氏です。以前、本誌でご紹介したレジデンツ城中庭の屋根の設計者でもあり、945号(2013年1月4日発行)で、インタビューにも応じています。町の中心にありながら、関係者以外は足を踏み入れることが許されない空間ですが、ドレスデンの豊かさが体現されているように感じました。

帰り際、飛んで行ってしまいそうなくらいたくさんの風船を持っている子どもたちを見掛け、また来年も訪れたいなと思いました。

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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