日増しに暖かくなり、外出の機会も増えてくる頃ではないでしょうか。今回は、週末のお出かけや連休での観光にぴったりなデュッセルドルフ近郊の街、ヴッパータールの空中鉄道についてご紹介します。
ヴッパー川の上を走行するモノレール。この車両は旧型で、 2024年12月より水色の新型が導入されています
ヴッパータールは、人口36万人の工業都市です。デュッセルドルフ中央駅からは、快速列車REで20分ほど。この街を東西に走るのが、世界最古の懸垂式モノレールであるヴッパータール空中鉄道、通称「Schwebebahn」です。この「懸垂式」とは、ゴンドラのようにレールから吊り下げる構造のもの。ドイツ語のschweben(浮かぶ、浮遊する)とBahn(鉄道、電車)を組み合わせた名称が表すように、空中を浮かぶように走行するモノレールなのです。
モノレール駅の多くが川をまたぐように建てられている。写真はKluse駅
最初に鉄道好きな夫から「モノレールに乗りに行こう」と持ちかけられたときは、都市部を走る近代的な乗り物というイメージしかなく、興味が持てませんでした。しかし調べてみると、このモノレールの開業はなんと1901年!支柱は日本でよく見る鉄筋コンクリート製ではなく、太い鉄骨がむき出しで無骨に組まれています。車両自体は新しいものの、開業当時の姿を色濃く残した支柱や駅舎の写真を見て、「こんなモノレールもあるんだ!」と驚いたのを覚えています。路線は全長13.3キロメートル。全20駅を30分で走行し、一日の利用者は8万人以上。周辺住民の足として無くてはならない存在となっています。主にヴッパー川の上を走っており、川をまたぐように建てられた支柱や駅舎も見どころの一つです。
初めて乗ったときは、家族みんなで大興奮でした。川の8 ~12メートル上空を走る浮遊感は格別です。また、川の蛇行に合わせ、建ち並ぶ住宅や工場の間をぬうように進んでいく様は、まるで遊園地のアトラクションのよう。すっかり気に入って、何度も乗りに行っていますが、子どもたちはいつも窓にかじりついて外を眺めています。ちなみに、特等席は後部車両の1番後ろ。全面がほぼ窓なので眺望抜群です。
後部車両の特等席を勝ち取れたときの様子。始発駅だと席を確保しやすいです
実は、同じように懸垂式を採用している日本の湘南モノレールとは姉妹協定を結んでいる間柄。ドイツの地で日本とのつながりも感じられる歴史的なモノレールとなれば、鉄道ファンならずとも体験して損はないはずです。デュッセルドルフやケルンから少し足を伸ばしてみてはいかがでしょう?
ヴッパータール空中鉄道:https://schwebebahn.de
日本の食品小売業界で働いた後、2014年に渡独。ハレ、ハンブルク、ボーフムと移り住み、現在はデュッセルドルフに夫と2人の娘と暮らす。趣味はオーガニックスーパーめぐり。
Instagram:@momococo_relife