マルクトと呼ばれる街中の青空市場では、旬の野菜や果物、肉や加工品など、農家や農場直売の食材を手軽に買うことができます。フランクフルト市内各所で、曜日ごとに市が立ちますが、今日は中でもお勧めの3カ所をリポートします。
まずはショッピング街として有名なツァイルの東、コンスターブラーヴァッヘ(Konstablerwache)のマルクト。毎週木・土曜日、駅の広場に50軒以上もの出店が並びます。規模も大きく、交通アクセスも良いので、毎回地元民や観光客で賑わいます。本誌945号(2013年1月4日発行)で紹介したビオ農場「Dottenfelderhof」をはじめ、ビオ食材を売る店も多く、安全で良質な食品を生産者から直接買うことができます。また、フランクフルト名物のリンゴ酒やハーブ入りの地元料理「フランクフルター・グリーンソース」など、郷土料理を手軽な値段で食べられる屋台も人気。私が訪れた日にも、多くの人が屋台の長椅子でリンゴ農家の自家製リンゴ酒や生絞りジュース、グリーンソースをかけたポテトパンケーキを味わっていました。
珍しい種類のリンゴやナシ、生絞りジュースやリンゴ酒を売る地元農家の店
続いて、同じツァイルでも西に位置するのがハウプトヴァッヘ(Hauptwache)のマルクトです。毎週金曜日、証券取引所東のシラー通り(Schillerstraße)に40軒以上の店が並びます。ソーセージやワッフルなど軽食を提供する屋台も多く、証券取引所前のワインブースや通りのグリルスタンドでは、昼食や仕事帰りの1杯を楽しむスーツ姿の人たちで混み合います。その他、天然酵母を使って薪オーブンで焼いたパンや200種類以上のチーズを販売するスタンドなど、毎週通いたくなるお店がたくさん。ワインで平日の労をねぎらい、週末の食材を調達する人々で賑わうこのマルクトは、週末の始まりを予感させる開放的な雰囲気が魅力です。
最後にご紹介するのは、ボルンハイム地区(Bornheim)にあるベルガー通り(Berger Straße)の青空市。毎週水・土曜日、お洒落なカフェが並ぶボルンハイム・ミッテ駅周辺に、30軒以上のスタンドが並びます。生鮮食料品はもちろん、手作りマスタードやフレッシュチーズのパン・スプレッドなどのお惣菜も豊富。生花や香辛料、蜂蜜、魚など、小規模ながらも多種多様な品が揃う中、私のお勧めは自家製の焼き菓子とパンのお店です。リンゴとサワークリームのケーキ、ルバーブのクランブルケーキ、西洋スモモのタルトなど、旬の果物を使った焼き菓子は、マルクトならではの種類の多さで、午後には売り切れてしまうほどの人気です。
ボルンハイムのマーケットのパンスタンドには、季節の焼き菓子やデニッシュが並ぶ
それぞれに特徴あるマルクト。曜日ごとに屋台の軽食や旬の食材を求めて巡ってみるのも楽しいかもしれません。
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。